めくるめく官能世界に程遠く
久しぶりにサークルに顔を出してみた。
相変わらず雑然とした部屋。
「あ、先輩、丁度いいところに来てくれました、カンパをお願いします」
「何の」
「工学祭の展示品制作費がショートしそうなんですよ、幾らでもいいですから」
「ふふ、来るんじゃなかった」
「そんなこと言わずに、ねえ」
「どうせ、飲み代になるんだろ」
「まあ、一部は、へへ」
「あいよ」
「ありがとうございます」
「あそこにいる女の子2人は見学か何か」
「いえ、部員です」
「えっ」
「そうなんですよ、僕も最初来たとき、まさかと思いましたよ」
「ふーん、あれがリケジョ」
「一人は雰囲気のよい子なんですが、もう一人のほうがね、頭が固くて固くて」
「へえ、カノジョにちょうどいいじゃん、かわいいし美人だし」
「やめてくださいよ、あんな性格ブス、理論ばかりほざいて何も進みやしない、理想と
現実のギャップを、知識と経験で埋めるのが技術だと、誰も教えなかったんでしょうかね」
「それを教えるのがおまえなの、ま、しっかりね、じゃね、うふふ」
けっこう似合いのカップルになるかも、そう思った。
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