めくるめく官能世界に程遠く
父所有の車を所有者登録はそのままにして譲り受けた、フェアレディZ 2/2 5速。
「まゆさん、親父が『乗らないなら処分する』というので、譲り受けたよ」
「どうして、お父さまが」
「さあ、まあ、1年車検だしね、でも、僕には思い出深い車だし、近くに駐車場ないかな」
「あると思うわ、お友達に訊いてみましょうか」
「お願いします」
「で、乗るのよね」
「分からない」
「わからないって、どういうこと、乗らないのに置いておくの」
「年に何回かは乗りますよ」
「それなら、お父さまのところに預けて置いて、乗る時だけ車庫からお出しになれば」
「それも考えましたよ、でも・・・・」
「でも、なに」
「売っても幾らにもならない車を親父が処分しようとしたのには、それなりの理由があ
ると思うんだよね」
「維持費が掛かるからでしょ」
「いや、それだけではないような気がするのですよ、あの車には家族の思い出が詰まっ
ている、それに、これまでも完全分解塗装やオーバーホールなど、金額にしたら相当な
額ですよ、それを今になって手放そうというのが理解し難い」
「そう、それで当分、お父さまの目の届かないところに置いておきたいのね」
「うん、さすが、まゆさん、愛してるわん」
「うふ、愛されてるわん」
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