めくるめく官能世界に程遠く
「まいさんが、お母さまと何でも話せるようになったと、とても喜ばれていました」
「ええ、あの子が自分から話し掛けてくるように成りましてね、それはそれで、とても
うれしいことなんですの、でも、勘の鋭い子でしょ、あらぬほうへ先読みしてしまわな
いか心配で、母親なんて心配するのが仕事みたいなもので、損な役回りですわね」
「そうなんですね、そんな素敵な仕事、僕も一生に一度でいいからしてみたい、母親の
気持ちになってみたいです」
「先生、じゃないわね、あなたのお母さまって、どんな方でいらしたのかしら」
「高卒で、ごくごく普通の母親、と言いたいところですけれど、子供の目からも見ても
少し違って見えました。祖父が、男に生まれればよかったと嘆いていましたから、でも、
母が男なら、僕はここにいないわけで」
「うふ、そうなんですね」
「背丈はあるのに、やせっぽち美人で、子供受けしなかったですね、ぽよよん先生の傍
から離れない我が子に、どことなく寂しげだったのを微かに覚えています」
「まいもそうなの、幼稚園のぽっちゃり先生にべったりで、子供ってみんなそうなのか
しら」
「柔かな弾力が、子供に安心感を与えるのかもしれませんね、僕なんか未だにそう、お
母さまのような方が母親で、まいさんが羨ましい、僕もあやかりです」
「あら、そうですのね、うふ、私うれしいかも、うふふ」
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