その22
まともに前へ進めないほど混雑した構内をなんとか進み改札前まで行くと、大雨により全ての電車が不通になっていると電光掲示板に表示されていて、土砂崩れにより私達の帰る方面は本日中に復旧見込みは無いとも表示されていました。
私は、すぐに他の帰る方法を調べましたが、他の電車も動いておらず、高速道路も不通になっいた事から高速バスも断念したところで帰ることを諦めました。
駅近くのホテルを探すと、どこも満室で途方に暮れていると、京子がひとつ提案をしました。
私は、まず家に連絡して、こっちに泊まる事になるが心配ないと言い、次に京子の家に連絡して、明日ちゃんと送り届けるから安心してと言いました。
お互いの両親が2人一緒なら大丈夫かと安心してくれて、電話を切りました。
私達は、コンビニで夕食を買い、タクシー乗り場の行列に並びました。
30分程で順番ががくると、運転手さんに、
私「1番近いラブホテルに行ってください」
と告げるとタクシーが発車しました。
運転手「今日は急遽泊まり?」
私「そうです。電車が止まってしまって」
運転手「1番近くのホテルは古いけど大丈夫?」
私「明日、さっきの駅から電車に乗るんで、そこでいいです」
10分程で年代を感じるラブホテルの前に停車しました。
運転手「部屋が空いてなかったら、戻っておいで。ちょっと待ってるから」
私「すいません。ちょっと見てきます」
料金を支払い2人でホテルに入ると、受付のパネルに照らされた部屋写真は、半分が点灯していました。
私は、運転手さんに手を挙げると、短いクラクションを鳴らしてタクシーが発車していきました。
歩くと遠い距離にあるラブホテルだと、まだ空室があるんじゃないかと提案した京子に感謝していると、
京子「圭太、初めて?」
私「そやな。お前、ベテランやろ?」
京子「嫌な言い方しはるな~。誰のおかげで布団で寝れると思ってんねん」
私「ほんま良かったわ。駅前のホテルが全部満室やった時、駅で野宿か思った」
京子「やろ?先人の知恵っちゅーやつやな」
ちょうど真ん中の料金の部屋を選び中に入ると、部屋もレトロなラブホテルで、天井まで鏡張りの部屋にピンクの照明、ガラス張りの浴室と昭和感が丸出しでした。 つづく
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