その18
山下の説明では、私と京子の写真を手に入れて欲しいと頼まれたんですが、小中の卒アル以外に何も無かったので、ツイッターから取ってきた画像に加工しただけらしく、その時期は、他にもカップルの写真加工をたくさん頼まれて本人がすっかり忘れていたらしいです。ただ噂話については、全く知らないと言いました。
私「そうゆうのやるんやったら、先に言えよ」
山下「頼まれたら期待に応えたいやん。オレはアニ研でコラージュの鬼と呼ばれてるからな」
私「話聞いてるか?」
山下「安心しろ。お前と林の写真は、あの1枚だけのはずやから」
私「…わかった。言わんでもええから、次からは覚えといてな」
山下「ラジャ!覚えておきます!」
写真の出所が判明したので、すぐに犯人まで辿り着くだろうと考えていましたが、山下に写真を頼んだ相手は、よりにもよって新内と言う男でした。
新内は、背が188cmもあるバスケ部のエースでした。ちなみに私は173cmで、山下は166cm小太り、京子は167cmです。
新内は、顔がある格闘家に似ていたため、あだ名はホンマン、またはフランケンでした。
バスケ部では際立って活躍する大エースでしたが学校生活では寡黙で目立たないため、ほとんど話した事がありませんでした。そして風貌が怖すぎて、不良グループも避けているような奴です。
山下によると、新内は過去に京子に告白してフラれた事があるようで、私と京子の関係も知っていそうな雰囲気でした。
喧嘩になったらヤバいなと、山下とダッシュで逃げる練習をしてから、新内に話を聞きに行きました。
私「新内、お前がこの写真を流したんか?」
新内「いや、オレはやってないよ」
山下「お前がオレに作らせた写真やん!」
新内「うちのクラスが文化祭でカップル写真を教室中に貼るって言う、裏企画をやったからやん。知らんかった?」
私「え!?文化祭で使った写真なん?」
新内「そうそう、先生も見に来てたで。お前ら見に来てなかったん?」
私「オレは文化祭の日、バレー部の公式戦やったから学校に来てないわ」
山下「圭太と京子って、やっぱり付き合ってたんか!裏切ったな!」
新内「いや、その時は噂になってるカップルも写真を作って貼ったで」
山下「噂だけ!?マジで噂だけ?まだ童貞?」
私「山ピー黙れ」
新内「あの写真、全部本人に返したと思ってたんやけどな。ちなみにオレも童貞やから、安心してええで」
山下「オレは経験済みやから」
私「めっちゃ判りやすい嘘を言うなよ」
山下「なんでバラすねん」
新内「山下、頑張ろーぜ。林にも写真は返したはずやで」
私「京子に?そうやったんか、ごめん。ありがとう」
教室に戻りながら山下と話しました。
私「お前も、あの企画を知らんかったん?見に行ったりしてないん?」
山下「行く訳ないやん。オレの住処はアニメ研究同好会やで」
私「そやな。3次元の幸せに興味なかったな」
山下「あの企画に出てた加工写真、全部オレの作品かも知れんな」
私「全部忘れてたん!?」
山下「自分の作りたい作品ちゃうかったら、やっつけ仕事になるやん?そうなったら、どうでもええ作品やから忘れるやん?愛が込められた作品とは違うんよ!ただし、手は抜かんけどな、コラージュの神やから」
私「鬼はどこいってん」
山下「新内って案外ノリええ奴かもな。友達になれそうやわ」
私「意外なキャラやったな」
山下「なぁ俺のキャラ、どう思う?」
私「オタクきもいキャラ」
山下「なんやねん!オレあかん奴やん!」
私「兄弟が居てないオレにとって、お前は兄弟みたいな友達やから信頼してるで。弟感が半端ないけど」
山下「俺は巨乳な妹が欲しい!」
私「そうゆうとこがあかんのちゃうか…」
私は山下と話しながら、京子が自ら写真と噂を流しているような気がしてきて、軽い胸騒ぎを感じていました。
ただ、あれから噂のことは、学校ですぐに忘れ去られていきました。 つづく
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