俺は庭に出た。利彦がバットを振っていた。「利彦君…おはよう…朝から頑張ってるね」利彦は無視した。俺は少しムッとした。「おはようっ」ともう一度言うと「おはようございます」と言ってまたバットを振った。「野球部なの?」「…はい」「ポジションは?」「外野と控えピッチャーです」「へぇ…レギュラー?」「まぁ一応」「あっ…続けて」と言うとまたブンッブンッと素振りをした。俺はその素振りを見て「今、打てないだろう?」と聞くと、利彦はえっ!?と言う顔をした。「あんまり打てないだろう?」ともう一度聞くと「…はい」と言った。「やっぱりね…アッパースイングになってる」「解るんですか?」「これでも昔甲子園寸前まで行ったんだぜ」と言うと利彦は驚いた。「君はパワーヒッターじゃないよね?」「えっ!?何で」「解るよ…君は体の線が細いから…もっとバットを上から振ってみな?」利彦は言われた通りに振った。「うん…良くなったけど体重移動を意識すればもっと良くなるよ」「体重移動…」「そう…ちょっと貸して」と俺はバットを借りた。
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