……
もう12月、しかもクリスマス直前だ。
街もクリスマスムード一色。
まぁ、去年まで俺にとってはどーでもいい時期だったのだけど…
今年は真里と過ごすだろう。
……
なんだ?この圧倒的勝者感…
…非リアな人々から殺されるレベルだな(笑)
俺は所用で○○町に来ていて、今から社に帰る途中だった。
が、この町には真里が働いている店があるので、ついでに少し寄ってみる事にした。
俺は真里の店に向かって歩いていると…
道路向かいに真里がいる!?
ま…
呼び止めようとすると、なんと!
真里が知らない男と一緒に楽しそうに会話しながら歩いているではないか…
…え…
な、なんだ?
相手の男は俺より多分若いし、ずっとイケメン…
なんだよそれ…
なんだかんだ上手く出来すぎだと思っていたが…
結局俺の勘違いだったのか…
真里も人が悪いよ…
多分俺があんまりミジメに思えて、本当の事を言い出せなかったのかもしれない。
とんだ三枚目だ…
まぁ、夢だったと思えばいいさ。
彼女にとって俺は遊びだったんだろうな…
お似合いだよ、その男の方がずっと…
俺は居た堪れなくなり、走って逃げた。
クリスマス前に失恋…
やはり冴えないわ俺(-.-)y-., o O
失意のまま帰社し、仕事が終わるとすぐに帰宅した。
昨日まではすぐに真里の部屋に飛んで行っていたが、もうそんな気も起きない。
こんな下らない男に気を使う位なら、本当に好きな奴の所に行ってくれ…
俺は泣いた…
女に騙されたくらいで…泣いた…
…
…
どれくらいの時間が経ったのか、スマホの鳴る音で目が覚めた。
…
真里からだ…
出たくないが…
とりあえず出た。
はい…もしもし…
「あ、やっと出たw何回ラ○ンしても返信ないし、電話してもつながらないから心配してたよ~
もしかして残業だった?」
時間を見ると11時過ぎだった。
3時間程寝ていたようだ。
いや、寝てたよ…
「え?すんごい疲れてたんだね…頑張ったんだね。
ヨシヨシ…」
真里はいつもと変わらないテンションで、いつもと同じように話して来る。
真里…今日の昼過ぎどこにいた?
「アタシ?
アタシはその時間だと店にいたかな?
どうかした?」
(やはり、ウソをついている…)
今日さ、見ちゃったんだよ…
○○町の交差点を真里が男と歩いてるの…
「え!?
あ、そういえば歩いてたかもww」
…もういいよ…
楽しくやりなよ。
じゃあ…
俺は電話を切った。
直ぐに着信がある。
まだ何を話すというんだ?
俺は着信を何度かスルーし、電源を切った。
これ以上、ミジメすぎるよ…
俺は本当に悲しかった。
今までに何度もこれに近い事はあった。
だが、真里だけは…
ダメだ…
俺は酒を呑んで気を紛らわそうとした。
真里と一緒に呑もうと買っていたビールや日本酒を次々に開けた。
ヘロヘロになって布団に潜り込んだ。
…
すると…
ピンポン…
玄関のピンポンが鳴り、ドアをドンドンと叩く音がする。
真里?
俺は玄関に出た。
「…俊、やっと出てくれた…」
そこには部屋着のまま、乱れた髪にメガネ姿の真里が息を切らしていた。
何だよ…こんな時間に…
「お酒呑んでるね…
ちょっと!アタシの話を聞いてよ!
全部聞かずに電話切っちゃうから…」
真里は必死な形相で俺に訴えてくる。
なんだよ、別にいいよ。
俺みたいな冴えない男より、ずっとイイ男じゃんか…
上手くやりなよ…
酔っ払っているせいか、言いたい事がスラスラ出る。
「やっぱり、アタシが浮気してると思ってるんだね…」
じゃあ、浮気してないって言うのかよ!
ウソまでついて、現場を見た俺はどうなるんだよ!
そんなウソ話、聞きたくない!
「待って!
違うの、アタシほんの数分送りに出ただけだったから仕事中に間違いないの!」
へぇ、お客さんを敷地外まで送り出すような店だったとは驚きだね!
「お客さんじゃないよ!
アタシの弟!!」
…は?
弟?
「俊には話してなかったよね…
アタシの家、ちょっと複雑でね、歳の離れた弟が5年ぶりにアタシを訪ねて来てくれたんだよ…」
え!?
…
真里は寒い玄関で靴下も履かないまま、寒さに震えていた…
俺は酔い潰れる寸前だった…
が、真里の寒そうな姿を見るにウソをつきに来た訳でもないことはわかっていた。
まぁ、奥で聞くよ…
真里を部屋へ通した。
元々酒にあんまり強くない俺…
ビールに日本酒に焼酎にとチャンポンしたのはダメだった…
そのまま眠ってしまった…
…
何時間経ったのか。
俺は尿意に目が覚めた。
ふと見ると、壁にもたれて真里が眠っていた。
泣いてたのか、化粧が崩れている。
…
ガンガンする頭を抱え、トイレに行く。
…真里、多分部屋を飛び出して来たんだろうな…
弟さん…とか言っていたような…
…
俺は…真里を…疑っていたのか?
真里に言い訳すら許さなかった…
俺は真里を横にして毛布と掛け布団をかけた。
…
…
目が再び覚めると朝だった。
…?
俺が真里に掛けた布団が俺に掛かっていた。
「おはよう…」
真里が目の前に座っていた。
…あ、その…
言葉が見つからない。
「今日は俊、仕事休みだったよね。
アタシも休んじゃったw」
え?
「俊に誤解されたままじゃ泣くに泣けないしね…」
真里…俺…
「いいよ。何も言わなくて。
だからちょっとアタシの話聞いてくれる?」
真里の過去を語り始めた…
続く…
次回「性なる夜」
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