やがて宴も終わりそれぞれ帰り始めた。美咲も騒ぎ疲れて寝ていた。すると「ママ…」と言って涙を一筋流した。「美咲ちゃん寂しいんだね」と直美が子供を抱きながら言った。「源ちゃんは見えないのかい?」ママが聞いた。「あの日だけです…見えないけど…この日と結婚記念日には桜が近くにいるのが解ります」「そうかい」そう言うとマスターは6個のコップを出し少しだけお酒を注ぎ、一つを桜の写真の前に置き「源ちゃんと桜ちゃんの出会いの日に乾杯」と言って飲み干した。「じゃぁそろそろ帰ります」「そうか気を付けてな」「はい…美咲帰るぞ」起きない美咲をおぶって店を出た。家に入り美咲をリビングのソファーに下ろした。それから俺は冷蔵庫から小さいビールを出し、コップを持って寝室を通り抜け、縁側に座りビールを注いでから、桜の木に向かって掲げ「乾杯」と言って飲み干した。しばらくすると美咲が起きて来た。「パパ…ママと話してるの?」「うん…いつもの報告だよ」「そっか」そう言うと美咲は俺の右側に座った。
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