通夜が始まると桜の交遊の広さに驚かされた。桜の勤め先の人は勿論、商店街の人達や桜の地元の友達、大学時代の友人それに近所のママ友等が弔問に訪れた。俺は桜を誇らしく思い涙がこぼれた。次の日葬儀も終わり出棺の挨拶。「皆様、本日はお忙しい中、故人武田桜の葬儀にお集まり頂き、故人に代わりまして心より御礼申し上げます。桜が是ほどの方々に好かれていた事に正直驚いております。桜と出会いわずか3ヶ月で結婚し一子をもうけ、笑いの絶えない幸せな家庭を築こうと思い、努力を始めた矢先にこの様な事になってしまい、無念に思っております。」今までの桜との思い出が、一気にフラッシュバックして涙が出て言葉に詰まった。皆俺のその姿を見て泣き始めた。「源二郎っ頑張れっ」と孝一さんが叫ぶと「頑張って源ちゃんっ」と直美も言った。「皆様、…桜が咲いたら時々でいいので…桜を思い出してやって下さい…桜はきっと喜んでくれると思います…本日は桜の為に足は運んで頂き誠にありがとうございました」と言って深々と頭を下げた。
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