鍋をコンロに置いて火を点けた。桜はフライパンをコンロに置いて、下の収納からオリーブ油のビンを出した。「あっ!?」「どうした?」「オリーブ油がない」「全く?」「うん…ほら」「ホントだ」「すぐに買ってくるね」「俺が行ってくるよ」「いいよ…源ちゃん仕事で疲れてるから、私が行ってくるよ」そう言うと桜はエプロンを外し奥に行き、青い上着を着て財布を持ってから「すぐ帰ってくるね」と言って玄関に行った。俺も玄関に行くと「源ちゃん下拵えお願いね」と言ってドアを開けた。「暗いから気をつけろよ」と言うと「忘れ物っ」と言って俺に近づきキスをしてから「行ってきます」と笑顔で言って出掛けて行った。その笑顔を見た瞬間俺の背中に悪寒が走った。桜が見せたその笑顔が最後の笑顔で「行ってきます」が俺と交わした最後の言葉だった。俺はキッチンに戻り下拵えをした。桜が出て行って5分程すると、美咲が泣き出した。美咲をあやそうとして近づくと突然気持ち悪い風が家の中に吹き込み、キッチンカウンターに飾ってあった3人で写った写真盾が落ちた。
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