料亭の入口で待っていると里子が歩いてきた。
「早かったですね。じゃあ行きましょうか」
店内を案内され、奥の個室に入った。
「高そうなお店だけど、なんか悪かったね」
「いいえ、そんなことないですよ、私の気持ちですから。それに島田先生とゆっくり話ししたかったんです。島田先生話しやすいから」
そう言って里子はきていたコートを脱ぎ、ハンガーにかけた。コートを脱ぐと、ボリュームがありながら綺麗な形の胸がブラウスを盛り上げていた。料理が運ばれて食べ始めると、授業やクラスのことなど、主に仕事の話しを二人はしながらお酒を飲んで過ごした。
章夫は話しを聞きながら里子の魅力を改めて感じていた。優しく微笑む表情や細い指先、綺麗な髪の毛、そして豊かな胸元、小学生の子供がいる人妻の色気に満ちていた。
なんとか章夫は里子をものにしたいと、強く思うようになっていた。
「ちょっとお手洗いいってきます」
立ち上がり、襖を開けようとすると、足元がふらついた。章夫はとっさに立ち上がり、里子の両肩を支えた。
「すみません、つい飲み過ぎたみたいで..」
里子は申し訳無さそうに、トイレに向かった。
章夫の手には里子の細い肩の感触が残っていた。
ますます里子への思いは強くなっていた。
里子が戻ると、
「奥野先生の横にいっていいかな。となりで話しをしたいんだ」
章夫は里子の隣にすわり、酒を注いだ。里子との距離感が近くなり、里子の甘い香りが、章夫の理性を狂わせようとしていた。
話しは身の上話になり、里子は夫と結婚して子供ができてから、出張でほとんど家にいなくて、子供と二人だけの生活をしていること、今日子供を預けた、夫の母とうまくいっていないことなど、意外に悩みが多いことがわかった。章夫は独身で独り暮らしなので、その辺りの苦労は、よくわからなかった。それよりも、結婚相手がいないことが悩みだと打ち明けた。
すると里子は、
「島田先生が結婚できないなんておかしいですよ、こんな優しい人が独りなんて」
「奥野先生みたいな人が現れたら、さらってでも一緒になるのになあ」
「冗談を言わないでくださいよ、私、本気になっちゃいますよ、ほんとに」
「じゃあ今夜だけさらっちゃおうかな」
そう言って章夫が里子の肩に腕を回すと、里子はゆっくりと章夫にもたれ掛かってきた。
章夫の腕に少し力が入り、つかんだ肩を寄せるようにしながら里子の唇にキスをした。
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