あくる日から授業が始まった。章夫の頭は貴子のことが気になって仕方がなかった。しかし、隣の机の里子も気になっていた。それは、朝里子から言われた言葉からだった。
「昨夜はありがとうございました。なにかお礼をしたいんですが、なにか欲しいものありますか」
そう里子に声をかけられた章夫は、
「いやいや、大丈夫だよ、気持ちだけで」
と言ったものの、せっかくの機会だからと、
「里子先生とデートしたいなあ、なんてね」
章夫が冗談半分に言ってみた。すると里子はわらいながら
「一応私人妻ですけど。でも食事だけなら大丈夫です。私がおごりますからね。ほんとにあの時は助かったので。」
章夫は予想外の展開に驚きながらも、嬉しくてしょうがなかった。
奥野先生と食事だ、言ってみるもんだ、と思った。
そして、とある週末に里子と待ち合わせをして、料亭で食事することになった。
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