章夫のキスを里子はそのまま受け入れた。互いの下唇を噛み、舌を絡ませ、お互いの唾液で二人の口周りはベトベトになっていた。章夫はその濡れた口周りを舐め、里子は舐めやすいように口を半開きにし、二人は甘い空気の中で包まれていた。
すると、
「お食事よろしかったですか」
店員に言われ、二人とも我にかえった。
「そろそろ帰りましょうか。私も子供迎えにいかないといけないから」
そうつぶやいた里子の表情は寂しそうだった。
店の外に出ると、章夫は
「奥野先生、また会ってもらえますか?」
里子は伏し目がちに
「...ごめんなさい、今日のことは忘れてください。私には夫がいますので...」
章夫は里子の言葉を聞き、なにも言えなかった。
章夫はなにも考えられなくなり、そのまま家に帰った。
それから何ヵ月がすぎ、教頭からある日呼び出された。
会議室にいくと、研究発表の責任者になってほしい、との依頼だった。研究発表は、普段の授業の進め方やクラス運営を学校でまとめて、他校はもちろん、教育委員会にもみてもらうことだった。
任命されてからの章夫は多忙を極めた。普段の仕事をしながらなので帰りも遅かった。
そして、ある残業をしていた日、職員室の扉がノックされた。
はーい、と言って扉を開けると、里子が立っていた。
「いつもお疲れ様です。差し入れもってきました。よかったら食べてください」
差し出されたのは里子の手作り弁当だった。
ありがとうと言って、弁当箱を机に置くと、章夫はそのまま里子を抱き締めた。里子も抵抗することなく章夫を抱き締めた。
「やっぱり奥野先生が好きです、気持ちが押さえられないよ」
章夫がつぶやくと、
「私もです。島田先生」
二人は熱いキスを交わした。
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