カレーを作り終えた頃、夫の正明が帰ってきた。
紀子はエプロンをはずし、
「お帰りなさい。」
キッチンからでてリビングで正明に声をかけ、
「理花には言ってあるけど、これからお友達とお芝居観に出かけるから…お夕飯はカレー作っといたから、理花と適当に食べてね!」
「そうか!わかった!」
紀子のワンピース姿を見てもなんの反応もしめさない正明だった。
二階の理花の部屋へと行き、
「お母さんそろそろ出掛けるから、お父さんのことよろしくね!」
振り向いた理花が紀子を見て、
「はーい!あっ…お母さん!早速この前のワンピ着てるの?うちよか先に着たらダメじゃない!(笑)汚さないでよね!」
「はいはい!わかってるわよ!(笑)変じゃない?」
智樹はかわいいと言ってくれてるが、どうしても若い人達から見るとどう思われてるのか気になり、理花に尋ねた。
もしおかしいと言われたら着替えるつもりだった。
「うん!大丈夫よ♪お母さんにしてはちょっと丈が短いけど…でもそれぐらい今のおばさん達は普通なんじゃないの?」
「そうよね!役員さんでももっとミニの人もいるし…大丈夫よね?」
「大丈夫よ~♪お母さんももっと若い格好しないと、来年は50になっちゃうんだから!(笑)」
「コラッ!理花(笑)じゃあ行ってくるわね!」
「後片付けもやっとくから!たまにはお母さんもゆっくり楽しんできて♪」
「うん…理花、ありがとう。」
娘の心遣いが嬉しくもあり、心苦しくもある紀子だった。
車に乗り、今度は智樹の夕飯をどうするか考えていた。
(若い子だからお肉やパスタなんかが好きかしら?でも食べ飽きてるからたまには家庭的なお料理にしようかしら?)
智樹がどうしたら喜んでくれるか♪考えるのが紀子は楽しかった。
先ほど行ったスーパーにまた入り、
(智樹君、体調も悪いからお肉はちょっと重いかな?お野菜とお魚中心で作りましょう!)
ある程度の献立を考えて食材を買って、智樹の部屋へと向かった。
今日二度目となるコインパーキングに車を止め、ドキドキしながら紀子は智樹に電話した。
「もしもし、智樹君?今着きました!」
「あっ!紀子さん♪早かったね!玄関開けとくから入ってきてください!」
「わかったわ…」
電話を切りドキドキがピークに達しながら、紀子は智樹の待つ部屋へと早足で向かった。
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