紀子は車の中で運転する前に、智樹からのLINEを開くと
「さっきはバタバタしてて、紀子さんのこと帰らせちゃったようになってしまい、すいませんでした。みんな今帰りました!紀子さんも家にもう帰りましたか?」
自分のことを気にかけてくれたのが嬉しくなり紀子はすぐ返信した。
「ちょっと買い物してたから、今から帰るとこよ!智樹君、具合はどう?」
するとすぐにLINEからの無料通話で、智樹から着信が来た。
「もしもし紀子さん?まだ家じゃないって聞いたから…電話しちゃった♪」
「うん、今買い物終わって車に戻ったところ!みんな早く帰ったのね?智樹君、具合はどう?」
思わぬ智樹からの電話にドキドキしてしまう紀子だった。
「紀子さんのおかげで熱も下がったし楽になったよ!本当にありがとう♪ねえ…紀子さん?もう来れないですか?」
「…えっ!!今から?」
(智樹君に会いに行きたい…)
すぐに紀子はそう思った。
「うん!もう無理かな~?俺、紀子さんとめちゃめちゃ会いたいよ♪」
また素直な気持ちをストレートにぶつけてくる智樹に
(私だって…今すぐ会いたい…)
そうは思うが、紀子は自分の気持ちを素直にだすことができず、
「お買い物しちゃったし…お夕飯の支度もあるし…今すぐは無理よ…」
「じゃあ夕飯の支度終わったら来れる?」
強引に食い下がる智樹がかわいくて、
「ふーっ、わかったわ!何時になるか約束は出来ないけど…智樹君もお夕飯困るだろうし…なんか食べれるようにしてあげるわ!」
内心ではドキドキするのだが、仕方なくとゆう感じを出しながら紀子は答えた。
「やった~♪じゃあすぐ帰って支度終わらせて、早く来てくださいね♪」
「もう…智樹君ったら…わかったわ!そのかわり…今度はイタズラしたら本当に怒るわよ!(笑)おとなしく寝て待っててね!」
紀子は自分からそんなことを言って、さっき智樹に一瞬でも大切なところを弄られたのを思い出し、顔を赤くしていた。
「えへへ…紀子さんも濡らさないようにね!(笑)」
「智樹君…そんな意地悪なこと言うんなら行かないから…」
紀子は電話で智樹にからかわれ、ますますカーッと身体が熱くなり、口ごもってしまうのであった。
「あはは、ごめん!ごめん!(笑)機嫌なおしてください!紀子さん来てくれるまでおとなしく寝てますから!めちゃめちゃ楽しみだな~♪じゃあまた着いたら電話してくださいね」
一方的に話してくる智樹に
「わかったわ…後でね!」
そっけなく返事して電話を切った紀子であるが、ドキドキ感はすでに限界であった。
電話を切って家に帰る時、
(なんて言って家を出ようかしら?)
などと、家を出る口実を考えていた。
普段紀子はたまにあるPTAの飲み会には参加することがあるが、それも以前から決まってることで、急に家を夜あけるようなことはしたことがなかった。
色々考えて、パートの同僚から急遽お芝居の券があまったから一緒に行かないか?と誘われたことにしようと考えた。
家族に嘘をつくのも罪悪感から、真面目な紀子にとってドキドキすることであった。
そんなことを考えながら家に着くと、まだ誰も帰ってなかった。
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