とうとう智樹から聞いた部屋の前に着き、一度深く深呼吸してから紀子はチャイムを押した。
すぐにドアが開き智樹が出迎えてくれた。
「紀子さん、すいません!汚ないけどあがってください。」
「あっ…智樹君…大丈夫?いいのよ寝てて…これ置いて帰るから、ちゃんとお薬飲んで、ご飯ちゃんと食べてね!」
ドギマギしながらさっさと荷物を置いて帰ろうとした紀子を智樹は呼びとめた。
「あれ?紀子さんが作ってくれるんじゃなかったんだ?野菜とかあっても俺作る気しないし…」
買い物の袋を覗きながら
「主婦の裏技見せてもらえると思ってたけど…紀子さん帰っちゃうんなら、またしょうがないから、なんも食べずに寝るしかないなぁー(笑)」
「わ、わかったわよ!簡単に食べれるもんだけ作るから、ちゃんと食べたらおとなしく寝とくのよ!」
呼びとめられて本当は嬉しかったのだが、仕方なくとゆう感じを出しながら紀子はサンダルを脱ぎ部屋の中へと入った。
「やった~♪紀子さんの手料理食べれるんだ!キッチンこっちです!」
「もう~智樹君たら…!病人だからたいしたもん作らないわよ!」
無邪気に喜ぶ智樹が可愛くてたまらないのだが、恥ずかしさから素っ気なくしてしまう紀子であった。
キッチンに入り、買い物袋から薬とアイスノンと冷えピタシートを取り出し
「今熱あるんでしょ?解熱剤だから今すぐ飲んで寝てなさい!即効性あるからすぐに熱は下がると思うから!」
解熱剤を智樹に手渡した。
「はーい!」
智樹は言われるまま解熱剤を素直に飲んだ。
「そしたらすぐ熱下がると思うから、少し寝てて!お布団はどこ?」
「こっちだよ!」
アイスノンと冷えピタシートを持って智樹のベッドまで一緒に行き、
「これ枕にすると冷たくて楽になるから!」
枕もとにアイスノンを置き
「ちょっとエアコンも冷やしすぎね!」
リモコンで設定温度を高めにして
「これでよし!じゃあお雑炊でも作るから、出来るまでちゃんと寝てなさいね!」
手際よく智樹をベッドに寝かせた。
「これ冷たくてめちゃめちゃ気持ちいい♪」
「うふふ、冷たくて気持ちいいでしょ♪あっ!そうだ!これも貼っときなさい!」
熱さまシートを取り出しベッドに横になってる智樹のおでこに貼った。
「えー!これちょっと恥ずかしいなぁ~(笑)」
おでこに貼られたシートが気になるらしく智樹は手でおでこを触っていた。
「病人なんだからいいの!はい、じゃあ急いでお雑炊作るから、出来るまでおとなしく寝てなさいね!お鍋や調味料、あるもの使わせてもらうね!」
紀子は笑いながらキッチンへと戻り、お鍋や調味料の確認をした。
(お鍋もあるし調味料もあるし…なんとかなるわね!)
紀子は手早く雑炊を作りあげ、盛り付けてから智樹を起こしに行った。
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