次の日紀子は、またいつもどおりの6時に目覚めて、すぐにスマホを確認したのだが、智樹からのメッセージは入っていなかった。
今日も正明と理花は日曜日で休みなので、しばらくベッドでスマホを眺めながら、智樹にLINEしようか考えていた。
(おはようの挨拶なんだからいいわよね?でも…昨夜から彼女と一緒だったら…)
色んなことを考えると、智樹にメッセージを送ることはできなかった。
諦めて下に降りて、洗濯と朝食の支度をしていると、やがて正明と理花も降りてきたので、3人でいつものように朝食を食べながら、今日の予定を2人から聞くと、
正明は明日の商談に必要な資料をまとめたいので、少し会社に出勤するらしく、理花は友達と出かけるとゆうことであった。
朝食の後片付けや、家事をしてると、正明も理花も出かけていった。
ひととおり家事を済ませ、2人が出かけたので自室にスマホを取りにいくと、智樹からのメッセージが入っていた。
「紀子さん、おはようございます。昨夜から風邪ひいたみたいで俺かなりヤバいです!今日は1日寝てます…」
(えっ!智樹君風邪って…!?もしかして昨日バイトで雨に濡れたから?)
「智樹君、風邪大丈夫?昨日雨に濡れちゃったからかしら?お薬はちゃんと飲んでる?ご飯はちゃんと食べられるの?」
紀子は母親のいない智樹が風邪をひいて苦しんでるのが心配でたまらなくなっていた。
「薬はうちになかった…食べるのも作るのがシンドくて…昨夜から食べてないです。」
(あ~どうしよう…彼女に来てもらうのかしら?彼女といってもまだ高校生だろうし…高校生の女の子に母親的なことはできないだろうし…今智樹君に必要なのは母親がわりになれる存在…)
自分に言い聞かせるように紀子は返信した。
「ちゃんとお薬飲んで栄養とらなきゃ治らないわよ!お薬と食べるもの持ってってあげるから!何か食べれそうなものはある?」
「特に好き嫌いないから…なんでも大丈夫です!紀子さん、来てくれるの?ありがとうございます。」
「お買い物してから行くけど、なるべく早く行くから!着いたら電話するから、寝てていいわよ!それじゃぁ後で!」
いくら看病とはいえ、49歳のノーメイクじゃ恥ずかしくて智樹と顔をあわせられないと思い、軽くメイクをした。
洋服も今着てるデニムパンツとTシャツを脱いで下着姿になり、なぜか無意識に紀子は最近買って、まだ一度も付けてない新品のピンクのブラとパンティをつけ、昨日娘の理花と一緒に買ったワンピースを着てみた。
姿見で写った自分の姿を確認して
(ちょっと丈が短くて気になるけど、これならカジュアルだから大丈夫ね!智樹君苦しんでるから急がなきゃ!)
早く智樹のもとへと行ってあげたい気持ちが紀子を急がせた。
車で家を出て、途中のスーパーに立ち寄り、薬局で風邪薬、栄養ドリンク、解熱剤、熱さまシート、アイスノン等買い、食料品では野菜、卵、ヨーグルト、スポーツドリンクを買い込み、急いで智樹のマンションへ向かった。
智樹のマンションのすぐそばにコインパーキングがあったので、そこに車をとめ紀子は智樹に電話をした。
「もしもし、智樹君大丈夫?今着いたんだけど…智樹君のお家は何号室かな?うん、わかった!今すぐ行くから…」
智樹から部屋を聞き、荷物を持って車から降りて智樹の部屋へと向かうまで、
(お薬と食料品置いてすぐ帰ったほうがいいかな?でも作るのがしんどいって言ってたから、食べれるように用意してあげたほうがいいのかな?)
わずかな距離を歩く間、色んなことを考える紀子であったが、部屋が近づくと紀子の心臓はどんどんドキドキしてくるのであった。
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