会社に向かいながら涼子の様子が気になる徹。電話をしたが呼び出し音が鳴るだけだった。
涼子は眠りこんでいた。
徹の浮気疑惑が解消されてから連日の激しいセックスに身体は疲労困憊していた。
オーガズムに達した女性は男性が射精する何十倍もの体力を奪われるが、興奮状態にあるため直後は気がつかないことも多いのだ。
お昼過ぎまで眠ってしまった涼子。携帯には徹からの着信履歴があった。
すぐ折り返して徹に電話した。
「大丈夫?心配したんだよ!電話も出ないし!」
涼子からかけた電話なのに繋がったと同時に喋り出して止まらない徹。
「寝ちゃってたから…」
一言、話すと
「そんなに疲れてたのか?ゆっくり休んだほうがいいよ!夕飯は何か買って帰る…それとも外でご飯食べようか?出てこれる?疲れてるから嫌かな?…う~ん、どうすればいいんだ??最近デートもしてないし、やっぱり外食かな?ねっ?涼子」
「ちょっと、少しは話させてよ。私はもう大丈夫だから!デートしたいな!久しぶりに~」
涼子の声も弾んでいるように感じた徹だった。
「じゃ、そうしよう!」
待ち合わせを決めて電話を切った。
聞き耳をたてていた川口がここぞとばかりに話しかけてきた。
「楽しそうだな!奥さんとデートか?紹介してもらうかな~」
にやけて言った。
「いぇ、今日は、離れてますし、涼子にも、何も言って、ないので、えっとー、今日は、、」
しどろもどろになる徹。
「大丈夫だよ!デートの邪魔はしないから。そのうち、紹介してくれるだろ?自慢の奥さんだし」
笑いながら言った。
「は、はぃ…」
返事はしたものの涼子を川口に会わせるつもりは無かった。今更ながら、涼子の写真を見せたことを後悔する徹だった。
六時半に駅前の噴水の前で待ち合わせた。
涼子が手を振るのが見えた。急いで駆け寄る徹。
「お待たせー!」
「お仕事、お疲れ様でした!」
ペコリとおじぎする涼子に微笑んだ徹。二人はお気に入りのパスタ屋さんへと向かった。
久しぶりの店内は内装も変わりメニューも一新していたが味は変わらず美味しかった。
店を出て遠回りをしながら川沿いの道を歩いて駅に向かうと見覚えのある路地に出た。明るい場所がある。川口に連れて来られたあの店だった。
タイミングが悪く店長が店から出てきた。涼子に気づかれないように会釈した徹。すると店長が二人の前に立ちふさがった。
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