川口が会社に戻ると徹は仕事をしていた。まだ休み時間だというのに早く仕事を終わらせて帰るつもりだろうと夜の誘いも諦めた。
仕事はきっちりこなしている徹。川口とできるだけ距離を置くには仕事上で絶対に迷惑はかけられない。
何よりも携帯に収めてある涼子の写真を見られることが恐かった。川口はあの玩具の報告を待っているはず。それを話せば写真を見せるハメになる。なので、もう何も話すつもりは無かった。川口の言う通りにすると、また涼子を苦しめてしまうかもしれないと恐ろしくなる。
写真もそうだった。あの時は興奮していて、あんな淫らな涼子を写してしまった。何度も削除しようとしたが、あまりに魅力的な涼子を消すことなどできなかった。
最近は写真を撮ろうとは思わない。シャッターを押す時間すら勿体なくて一秒でも長く涼子に触れたいと思うのだった。
川口は他の部下と飲みに行く約束をしているようだった。できれば関わりたく無いと感じている徹は少しホッとした。
話も面白く出世コースの川口は、社内でも人気があり徹の出る幕はなさそうだ。
仕事に集中していると、あっという間に時間が過ぎて定時がやってくる。あと少しで終わりそうな書類を整理して、終業時間を少し過ぎたところで仕事を終わらせた。
今日も急いで家に帰る徹だった。
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