彦則は夫の帰る前に、何事もなかったかのように仕事に戻る。
てる子は疼く肉体で下着を履き身支度を整える。
自宅から渡り廊下を隔てた向こうの作業場で仕事をする彦則を戸の隙間から恨めしそうに眺める。
その夜、誰もが寝静まった深夜に、てる子は布団を抜け出し彦則が眠る場所へと向かう。
その時ほど自分自身が淫らな女に成った事を自覚された。
何も知らず横で眠る夫を裏切り、彦則に貫かれたい思いだけで、夢遊病者のように彦則の元に向かってしまう。
玄関から入る事の出来ない、てる子は彦則の部屋の窓ガラスを小さく叩く。
やがて窓ガラスが開けられる。
「やはり来たか」
その言葉に、てる子は刹那げな表情を浮かべる。
「てる子、そこで裸になれ」
彦則の意外な言葉に、てる子は外で…と躊躇いの表情を浮かべる。
深夜の冷気に晒された野外。
それでも、てる子は抱かれたい一心でパジャマを脱ぎ始める。
冷えた月夜に、てる子の肉体が妖しく浮び上がる。
最後の下着を脱ぎ去り全裸に成る、てる子。
脱いだ衣服は彦則の手元に。
「素晴らしいよ、てる子。抱きたい」
「こんな所で恥ずかしい、中に入らせて」
彦則に手を取られ、てる子は窓ガラスを跨ぐように部屋に入る。
「あんちゃんは、どうした?」
「寝てるわ」
「したくて我慢出来なかっただろう」
「あんたが途中で、いきなり止めるから」
「濡れてるか?てる子」
返事の代わりに、てる子は彦則に、しがみ付き肉体を絡ませて行く。
「欲しかった、あんたの、これが欲しかった」
なり振り構わず彦則の肉体を咥える、てる子。
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