雨の降りしきる6月の晩、俺はパチンコ店から出て車の中で気が付いた。
幸子からの留守電であった。
「いさおさん、お久しぶりです、実は母が最近痴呆が進み私も仕事を休まなければなりません、
今後のこともありご相談あります、一度帰省願います」
かれこれ二年、俺は土日の連休を利用し帰省したのだった。
あの事が頭にあり幸子の顔を見るのが気まずかったが幸子は以外にも暖かく俺を迎えてくれた。
「お袋はどうですか・・・・」
「徹さんが亡くなってから元気がなかったんだけど、最近は痴呆が出てあぶなかしい事もあるのよ」
幸子はその話の中で経済的にも苦しい旨のことが理解できた。
その晩、お袋と三人で夕飯を食べている時である、お袋は俺を見ながら
「お前さん誰や、内の嫁を寝取りに来たのか」
いきなりこんな言葉を言って怪訝そうな目で俺を見つめた。
「おばあちゃん何言うの、あなたの息子さんよ」
幸子はこんな具合よと言わんばかりであった。
そして幸子はお袋に薬を飲ませて離れに連れて行くのであった。
その晩、幸子が用意した酒を酌み交しながら俺はあの無礼を詫びながら幸子の力になりたいと願い出た。
幸子はうつむき加減にしながら言った。
「あの時、本当に驚いたわ・・でも私も徹さんが亡くなって寂しかったの、だからいけない事と思いながら
あなたを受け入れてしまったわ」
「もう三年過ぎたし、晋也も就職したしね・・・」
「そうか、晋也もうそんな歳でしたかところで晋也は・・・」
そう尋ねると晋也は東京に出ているとのことであった。
会話は深夜に及んだ、俺のあくびを察してか幸子は床を敷いて休む支度にかかた。
「いさおさん、先に休んでて私も後片付け済ませていくわ」
その言葉の俺は意味を感じなかったが後で理解した。
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