「誰か、いませんか?」何処からか、声が聞こえた。
その声を堺に、静寂だった辺りが一斉にざわめきだした。
「ここは、どこだ!ここから、出してくれ!」
「みず!水をください。」
今日、私とともに連れて来られた男達だろう。
私、同様。檻に入れられているようである。
カッ、カッ、誰かが、階段を下る足音がする。
1人、2人。いや、3人。
迷彩服の女兵士が3人。どこからと無く現れた。
おそらく、私たちの監視兵であろう。
「静かに!」「変態ブタ野郎!」
相手を、見下した侮蔑の篭った口調で命令する。
「ここから、出してください。」
誰かが、声をかけた。
「うるさい!黙れ。マゾ野郎!」
「あの・・・」 また、1人声をかけた。
「何だ!」 「あの、み、水を戴けませんか。」
私も、同じ思いだったが。あまりの威圧に、声を挙げられずにいた。
今の時代、飢えとは無縁に生活してきた。
ましてや、飲み物に不自由などした事がない。
それが、かれこれほぼ1日。飲まず、喰わずで囚われの身である。
そろそろ、限界である。
「うっ、水かぁ」
ニヤニヤ、女兵士同士が、顔を見合わせる。
「ここには、水は無いが。ある特殊な水ならある!」
他2人の女兵士が、それを聞いて笑い転がる。
「どうか、水をください。」
「他の奴は、どうだ。水の欲しい奴は、手をあげろ!」
その合図に、私は檻から手を突き上げました。
「何だ、全員か。」いまだ、笑いを押し殺すように、
「残念だが、如何せん特殊なお水だ。全員分はないなぁ。」
それを聞いていた他2人、涙を浮かべて笑い転がった。
「水は無いが、私の小水なら飲ませてやらんでもない。」
「どうだ?女のショウべん、飲みたい奴は、手をあげろ!」
私は、自分の耳を疑った。確かに、いま。ショウべんと聞き取れたが。
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