第3章 - イノセンス
まったく想像していなかったことを平然と言い放ったみほには驚いた。もしかしたら、最近のブログへの頻繁な訪問は躊躇と決心の狭間で揺れ動いていたことの証だったのだろうか?そして、そのことを確かめたくなっていた。
『みほ、おまえ自分が何を言っているかわかってるのか?』
『はい、心臓の鼓動が聴こえるくらいドキドキしてますけど冷静だと思ってます』
『最近、毎日ブログに訪問してただろ? それがはおまえの迷いだったのかな?おれに話し掛けようか、止めておこうかというような。。。。』
『グレッグ様には心の中まですべてお見通しなんですね』
『そんなことは無いよ、まだおまえのことは何もわかって無いよ。ただ来月、結婚すると言うことだけだ。でもなぜ、おれなんだ?』
余りにも突然の話に嬉しく思いつつ、それでも疑問が残っていた。
『勇気を出してグレッグ様に話し掛けられたのだから、すべて話します。私が初めてグレッグ様を知ったのは、ブログでシングルマザーに1日体験調教させたとい記事を見た時です』
『それは、削除されてしまったひとつ前のブログだな』
余りにも卑猥な表現や画像で削除されてしまったブログ「ミッション・ポッシブル」のことだった。
『私自身にM性があるのかわかりません。でも私は、その女性を羨ましく感じ、女性の持つ勇気に憧れました。「Mの刻印」と名付けられた写真には釘付けになりました。そして私に勇気があれば、同じ体験ができるんだと考えるようになりました』
『来月、結婚するんだろ?大丈夫なのか?あるいは結婚相手と体験するなんて考えないのか?』
『結婚するのは事実です。でも実は私もシングルマザーで再婚なんです。私はシングルマザーで良かったんですが、両親が子供の将来を考え再婚しろと、お見合いをさせられて』
『なかなか複雑だな』
『内緒ですが、再婚は子供のためで私のためでは無いと割り切っているんです。だからすごく真面目そうな方と再婚することに、こんな私は駄目な女でしょうか?』
自身のことより子供の将来を真剣に考えての決断、それを否定することは出来ない。また、子供が幸せになるきっかけになる再婚であって欲しいと願った。
『みほ、おまえは駄目な女なんかじゃない。素晴らしい女性だと思うよ。だから、おまえの望みや願いを叶えることなら何でもしてやりたいと思う。どんな望みでも言っていいぞ』
『ありがとうございます。嬉しいです、あのブログで書かれていたこと全てを私に再現してください。それが私のお願いです』
お互いが再婚のため、6月の結婚式は内輪で行うと言うことだった。結婚式までに1日、一度だけM女としての体験をしたいと言う願い、それはイノセンスであり罪を感じることでは無いと思った。
『わかったよ、みほ。おれに出来ることは何でもしてやる。土曜日の夜に、もう一度話そう。その時に、おまえの気持ちが変わっていなければ具体的なプランを話そう』
『わかりました。やっと出せた勇気ですから私の気持ちは絶対に変わりません。一生の思い出をいただきたいと思います』
みほの強い決意と勇気を感じると共に、シングルマザーに施したM女を体験させた一日を思い起こしていた。
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