「あっ大丈夫です」「大丈夫じゃないよ…風邪ひくよ」 と言ったが大丈夫の一点張りだった。俺は放って置けなかったので、タオルと傘を貸した。女は「ありがとうございます」と言って受け取った。俺は中に入りコーヒーを淹れ女に飲む様に勧めた。「ありがとうございます」とまた言った。「トイレ行きたくなったら呼び鈴押して」と言うとまた「ありがとうございます」と言った。それから1時間してまた覗くと女はいなかった。例のごとくドアノブに袋だけ掛かっていた。俺は女に貸した傘等を回収した。それからすぐに男が帰って来た。また覗くと例のギャバ嬢と一緒だった。「なんだ?また来たのかよ…ウゼェな…」と男が言った。それを聞いて俺は無性に腹が立った。それから数日後、帰りに夕立にあった。慌てて帰るとびしょ濡れになったあの女が立っていた。俺は玄関を開け無言で女の手を引っ張り、中に入れドアを閉めた。女は声もあげずに玄関に入り寒さか恐怖か解らないが震えていた。俺は女をタオルで拭いた。
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