ソリティア-第9章
スクリーンで繰り広げられた助教授と教え子との行為は、両方の乳房をハーフカップのブラから露にした隣の人妻には刺激的だったようだ。
『もしかしたら、この人妻はベットの上以外ではセックスという行為をしたことが無いのだろうか?』と感じさせられるほどだった。
膝まで下ろしたのはストッキングだけでは無かった、ブラと同じパステルカラーのパンティも下ろしていた。パンティの内側は秘密の花園から溢れた甘い蜜によって、まるで漆黒の深海を想わせる濃いブルーに変わっているように見える。
「下着をびしょびしょに濡らして。。。洗濯したてのように濡れてるじゃないですか」
センテンスの間のポーズには耳の穴に尖らせた舌を差し入れたり、耳たぶを強めに噛む。
「・・・・・」
激しく蜜を溢れさせたことを指摘されたことがよほど恥ずかしいのだろう。身体には一切触れていないにもかかわらず首を大きく仰け反らせる。
「貴女のせいで、こんなになってしまったじゃないか」
人妻の左手を取り、全身の血流が集中したかのように熱を帯びた自らの分身に導く。握った右手には、この短編小説のタイトルのきっかけになったソリティア--センターストーン一粒を真ん中に配したリング--の感触が伝わる。
そして右手ではなく左手を引っ張った理由は、人妻の身体をこちら側に向けたかったためだ。ロビーですれ違った時には、瞬間的に顔をそむけたため正面から顔を見ることは無かった。
淫らに感じている恥ずかしさからか、あるいは、それ以上にコーデュロイの生地越しに自らの左手が触れている熱い物への興味なのか、真っ直ぐにその物を見つめる。 そのため、顔を正面から見ることは出来ずにいた。
それでも、軽くウェーブの掛かった短めの髪の毛に隠れた頬や鼻、唇が見える。多少上を向いている鼻は可愛らしさを感じさせるものだった。
フリーズしたように動きの無い左手に指示を与えるよう、脳に指示を与える言葉を発する。
「固く熱くなっているのがわかりますか?」
一点に注ぎ込んでいる視線を動かすことなくゆっくりと頷く。
「誰のせいでこうなってしまった?わかりますね?」
「・・・・・」
驚いたことに顔を向けてきたためお互いの視線が初めて重なった。恥ずかしさや嬉しさが混じり合ったような表情を見せる。その瞬間に脳が左手に指令を伝達したのか、指先が固く熱くなった分身の形状をトレースするかのようにゆっくりと動き出した。
そして脳が指令を伝達したのは左手だけでは無かった。右手の人差し指と中指で、いびつに歪んだ乳房の先端で自己主張する乳首を暫く転がすと、その二本の指で唇をなぞり出す。それは、まるで唇を分身全体に這わせていることを思い起こさせる動きだった。
スクリーンでは、助教授が小説家の妻を邸宅に招き、自らの母親を交えて談笑するシーンが展開されている。もうすぐ館内で笑い声がこぼれるはずだ、通常の母娘の会話では有り得ない言葉の応酬に。。。。それでも、このご夫妻には、その会話も館内の笑い声も届くことは無いだろう。
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