年下の男の子②
私の名前は莉緒、駅ビルに入ってるギャル系ショップの店員をやってます。
22歳で弟が一人と、母親の3人暮らし。
弟と悠太は同級生で仲も良く、小学校の頃から家によく遊びに来ていたって感
じで、中学に入ってもそれは変わらず、弟もちょっと問題児なのでそろって悪
ガキといった感じかな?
中学生の頃って何かと微妙な時期っていうのは自分も経験しているからわかる
けど、男の子となればそれはそれで色んな悩みとか出てくるって感じだけど。
悠太には同級生の彼女がいて、それは弟から聞いた事で知ったのもあるし、う
ちのショップによく顔を出す女の子が彼女っていうのに気が付くのはそんなに
時間はかからなかったかな?
ある時悠太とその彼女が一緒に来た時にそれに気付いて、まだその時には目の
前にいる悠太とこういう関係になるなんて想像してもいなかったって感じ。
しばらく彼女と一緒に買い物に来ていた悠太だったけど、あるときから一人で
ショップに顔を出すようになって、もちろん彼女に何かプレゼントする為かな
って思ってたけど、結構頻繁に来るようになってからはそう言うのじゃなく
て、雑談とかそういうのが目的かなって思うようになったって感じ。
同じショップの同僚の女の子達にもウケのいい性格っていうか、割と馴染みや
すいっていうか、ふらっと立ち寄ってもいつもの感じで雑談する悠太・・・
「ねえねえ、莉緒姉」
相変わらず悠太は私の事をそう呼ぶって感じ、まぁ小さいころから知ってるか
ら別に抵抗はないけど。
「何??っていうかぁ、学校とか行ってんの?まだお昼前って感じなんですけ
ど?」
学校が終わるにはまだ早いし、ごくごく普通の平日だし、ここに中学生がいる
事が変って感じ。
「学校?いまテスト期間だからさぁ終るの早いんだよね」
そう言いながら店内を歩いて店員の女の子達にあいさつしてまわってる悠太。
「そうなの?まぁ別にいいんだけどさぁ」
入荷してきた商品を段ボールから出してチェックする私、同僚も一緒に手伝っ
てもらいつつ、お客が来ればあいさつをして接客する感じ。
「何か手伝ってやろうか?力仕事なら全然平気だけどさ」
そう言って段ボールから商品を一緒に取り出し始めて。
「手伝ってくれるのはいいんだけど、一応商品だから丁寧に扱ってよね?」
悠太にそう言うと、わかってるわかってるという仕草を見せながら手伝い
「それよりもさぁ、莉緒姉やみんなのその爪がヤバいんじゃない?なんか尖っ
てて刺さりそうだし」
私や店員の女の子の派手なネイルの事を言ってる悠太、何かと言えばすぐに上
げ足を取るというか。
「大丈夫大丈夫、みんな慣れてるし、悠太みたいに素人じゃないからね?」
こっちも一応反撃するって感じだけど、悠太にはまったく通じない感じかな?
「商品取り出すのにプロも素人も無いって、っていうかこれすごくね?こんな
の穿いたらパンツ丸見えじゃん?」
悠太が手にとったのは白のフリルの超ミニ、インナーはついてるけどあまり意
味ないって感じで、穿けば確実にパンチラしてしまうような商品。
「こういうのも一応品揃えで必要なの」
悠太の手から取り上げると、たたんで棚に置きながら次の商品を手にとってま
た陳列といった感じ。
「なんかさぁ、そういうの穿いて似合うような彼女がいいなぁ」
ニタニタ笑いながらそう言う悠太、どことなく私や店員の女の子を見る視線が
変わったというか。
「彼女いるでしょ?似合う服とかあるからそういうの着てもらったらいいじゃ
ん?」
そう悠太に言うと、急に溜息をつくような感じ、なんかちょっと芝居っぽい感
じだったけど。
「なんかさぁ、違うんだよね?うまく言えないんだけどさ」
深刻そうなふりをしているっていうか、やっぱりどこか不自然な感じ。
「悠太の言う違うっていうのはよくわかんないけどさぁ、もうちょっと彼女と
一緒にいてあげたら?ここに来る時間あるなら会ってあげた方がいいんじゃな
い?」
そうは言ってもやっぱり様子は変わらず、何かを語るかのような口調で。
「やっぱさぁ、あいつ一人だけを大切にしてると、本当の大切さってわからな
いんだよね?」
そう言いはじめ、誰かの曲の詞の一部みたいな言葉を並べはじめて。
「他にもいっぱい女っているわけだし、違う女を知ってあらためてあいつの大
切さを知りたいんだよね?」
と、何から何までどっかから拾って来たようなセリフを語る悠太。
「わかんないけど、あんまりそういうのは良くないんじゃない?言いたい事は
わかるけど、それって屁理屈じゃん?」
悠太の話に対して私がそう返す時には店員の女の子達は接客に追われてるって
感じで、その場には私と悠太の2人だけ。
「そうかなぁ?じゃあ莉緒姉は今の彼氏の大切さってわかる?他にもっといい
男いるかもしれないぜ?」
急に私の彼氏に話題を振ってくる感じで。
「大切なのはわかるし、他にもいい男はいるかも知れないけどね?でも今は今
のままでいいって感じだよ?」
悠太の質問に対して無難な答えで返して。
「ふぅ~ん、なんか面白くないよね?本当に大切なのかどうかってわかるんだ
ぜ?知りたくないの?」
誘導尋問というか、悠太が欲しい答えに誘導してるかのように。
「あのさぁ、何が言いたいわけ?悠太の考え方もわからなくもないけど」
そう言い返すと悠太が顔を近づけて小声で私に話し始めて。
「だろ?わからなくもないって感じならさぁ、知るチャンスなんじゃない?ほ
らバレなきゃいいって感じじゃん?」
つまりは悠太の言いたい事としては、俺と付き合ってみないかっていう内容を
言いたいわけで。
「いくら隠してもバレる時にはばれちゃうの、わかったらさっさと帰って彼女
に会いに行ったら?」
追い返すような感じで悠太を店頭まで見送る私、そんな私にまた顔を近づけ
て。
「まぁ一応考えておいてよ?バレなきゃいいんだからさ、バレないようにする
のがスリルがあって楽しいんじゃん?」
それだけ言うと振り返ることなく通路を歩いて姿を消す悠太・・・
この時のやり取りがきっかけで、事あるごとにショップに顔を出しては私を口
説き落そうと奮闘する悠太。
はじめのうちはすぐに諦めるかなって思ってたけど、思春期のエネルギーとい
うか、自分の欲望の為のエネルギーは凄くて、へこたれることなく頻繁にやっ
て来て。
そんな姿を見ていると、下心丸見えだけど勢いに押されちゃうっていうか、私
に対してのエネルギーに負けそうな感じがして、そのうちメールからとか、デ
ートくらいならって軽い気持ちが生まれてしまったわけで。
これが悠太との関係の一歩目だったのかなって・・・
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