その時だった。
「草薙先生!あたしも手伝います。」
「よ、米沢か。いいよ石川一人で。」
「いえ、生徒会長としての責務ですし。石川さん具合悪そうじゃないですか。」
「俺も手伝うよ。」
得意げに胸を張る米沢の後ろからさらに男子がやってきた。
「今井もか…わかった。頼むよ。」
渋々受け入れた草薙だった。
体育倉庫の重く冷たい扉を開く。
「あー。じゃあ今井!お前はこのバスケットボールを運んでくれ。あと、先にバスケしてていいぞ。」
今井が敬礼のようなポーズをして、バスケットボールはいった車輪付きのカゴを押していく。
「石川と米沢はこっちだ。」
体育倉庫の奥へ、二人の少女を引き連れて行く。
「先生、何を準備するんですか?」
米沢の質問に草薙は答えない。
さらに詰め寄ろうとする米沢を、ゆきが抑止する。
「よし。石川、脱げ。」
「え……」
石川がうつむき何もしないでいると、草薙は壁を叩き、繰り返す。
「脱げ。」
「先生!犯罪ですよ。これ。」
「チクるのか?」
「教育委員会に訴えます!石川さんも、脱がなくていいからね?」
優しくゆきの手をとり、体育倉庫の出口に向おうとする。
ゆきは歩きだせなかった。
おもむろに草薙が口を開く。
「チクったら石川がどうなるかわからないぞ?」
ゆきの手を引く米沢の動きがとまる。
「米沢がチクったら、お前のせいで石川が苦しむんだ。そう、お前の責任で。」
米沢は草薙の方を振り返る。
「脅しには屈しません。石川さんは保護してもらいます。」
「俺の命令を聞かずに、お前がここをでた瞬間、石川を殺すよ。犯した後でな。」
大きな声をあげても同じだ。と付け加えた。
米沢はうつむく。
「どうしたらいいですか。」
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