いやらしく腰を振る彼女の前では、男は無力だった。
愛欲のままに快感を貪る彼女の中に白濁の愛を吐き出した。
―――ごめん。
―――いいの。今日は大丈夫な日だから。
事後に、男の腕に抱かれているのははじめての事だった。
正しくは、売春婦に成り下がってから、はじめての事だった。
この男に抱かれているときだけは、幼く、清らかな少女だった時のような気持ちに戻れるのだ。
また明日からは少女としてではなく、汚れた売春婦として男に身体を安売りしなければならない。
そこにあるのはプライドではなく、生への執着だけだった。
男は急に起き上がり言う。
―――君がこれ以上ほかの男に抱かれてしまうのは嫌だな。
―――生きるためよ。
―――じゃあ僕が毎日君を買うよ。
―――なにそれ。
彼女は思わず笑ってしまう。
―――いや、プロポーズのつもりだったんだけどね。
男は自分のカバンから小さな箱を取り出すと彼女の前に置いた。
お終い
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