午前の診療を終え、昼食後の歯磨きをしている時のことだった。
………明美先生、何だが綺麗になりましたね…
いい人でも出来たんですか?
スタッフの1人、佐々木優子にそう悪戯っぽくからかわれてしまった。彼女とは気心の知れた仲でもあり、信頼関係が築けているからこその軽口だが……。
………それが結婚をしている女に言う言葉?…
ハカなことを言ってないで、早くいい人を見 つけなさい…
呆れ顔でぴしゃりと返された優子は、ぺろっと舌を出して笑顔を見せながら肩をすくめる仕草を見せる。
……だって明美先生、なんだか本当に雰囲気が変わったなぁって思って、良い事でもあったのかなって……
……あのね………あ〜ぁ、浮気相手が出来たら優子ちゃんに気おつけなくってゃいけないわね……
明美は内心でドキッとしながら、可笑しそうに軽口を叩いて見せる。彼女に自分がそう見えるのなら、気を引き締めないといけない。知らずしらずのうちに、浮足立つ気持ちが現れているのかもしれないのだから。
明美はつい数日前のことを、思い出さずにはいられなかった。あんな不衛生なトイレの狭い個室の中で、情事に溺れるなんて我ながら信じられない。
途中で我に返り拒絶をしたというのに、意図せず挿入をされたとはいえもっと抵抗は出来たのかもしれない。己の欲に負け、あの華奢な少年に似つかわしくない逞しく、勢いのあるペニスに夢中になってしまったのだ。
あんなものに貫かれたら誰だって……そんな言い訳じみた気持ちは何の意味も持たない。ただひたすらどこまでも気持ちよくて、あの底なし沼のような快感から逃れるのは不可能だったのだ。
もしかしたら、いや……女に生まれてから何もかも忘れ、初めて快感に溺れたのかもしれない。達しては突かれ、また達するまでいつまでも突かれ続けるのだっ。無限地獄のような快感は我を失わせ、疲れを知らない少年の腰の躍動に、まるで体がとろけていくようだった。
視線をそに向ければ出入りする少年のペニスが絶えず動き続け、天井に設置された蛍光灯照らされて卑猥に光沢を帯びたペニスが何が得体の知れない生き物に見えなくもない。思考が定まらず何がどうだと認識ができないまま、逃れようのない深い快感の海の底に引き釣りこまれていく……。
明美は気付いていた、まだあの少年が射精をしていない、その事実に。彼はコントロールをしていると言っていたが、どうしてそんな事ができるのか。彼は話しても信じないだろうから、その話はまた今度ね……と はぐらかせるだけだった。
彼は女の人が快感に溺れる姿を見るのが、堪らなく好きなのだと言う。溺れる側だった自分がいつしか溺れさせる側になって、初めてその悦びを知ったのだとも言った。
病気には気お付けて妊娠させることにも慎重になり、官能だけを味あわせるなんてある意味で女性に都合が良すぎることだけれど、驚いたことに彼はまだ14歳の中学生だと明かされて、明美は目眩がしたものだ。こんなこと、いったい誰が信じるだろうか………。
少年がどこの誰なのか、いったい何者なのかは教えてはくれない。彼は事が終わると身なりを整えた明美に、あまり遅くなると親がうるさいからと手を降って隣のホームへと去っていった。
恐らく同じ目に遭った女性は明美意外にも複数、存在するのだろう。もう懲りごりだと思ったのに数日が経つと、今こうして子宮が疼きだしてきてしまう。明美は下半身に手をやろうとして、側に優子がいることで辛うじて思い留まった。
午後の診療が始まる、気を引き締めなくては……。
帰宅するための駅に向かう道すがら、今夜の夕食はシチューにしようかと明美は考えていた。
じゃがいも、人参は冷蔵庫にある。後は鶏もも肉とブロッコリー、マッシュルームを揃えるだけでいい。最寄り駅前のスーパーに寄っていこう……。
明美は改札を潜り、やって来た電車が巻き起こす風に髪の毛とスカートを押さえる。シースルー素材の薄手のカーディガンが風に揺れ、肩口までしかないインナーのお陰で肩から下の肌が色気を漂わせる。
特段に世の中の男の目を引くほどの美女という程でもないのに、この年齢の女性が放つ性の匂いに嗅覚が鋭い輩は存在する。それが少年によって高められたことを、明美は自覚をしていないのだった。
いつものように扉脇の手摺りをつかもうとしてた明美の体が、やや強引に車両の中程まで押しやる人の流れが遭った。不可抗力にしては不自然さを覚える気がしたが、いつも所定の場所に立てるわけではないのだ。
動き出す電車の揺れに乗じて、下半身に触れられる違和感を明美は覚えた。それは明らかな意思を感じさせ、あの少年のようなか細い指を持つ手とは違う男の手だと感じて、息を呑んだ。
気が付けば自分の周囲にいる数人の男が手にした新聞を顔の高さに掲げ、その外側にいる人の視線を遮ってしまっていた。電車内の秘め事に慣れてしまった明美は、この不穏な事態に悪い予感を感じで仕方がない。
そして不安を感じる予感は、現実のものになっていく………。
後から、左右から、そして正面から伸びてきた手がスカートを持ち上げ始めた。それぞれの腕を抑え込まれ、正面の男とあまりに近い距離で視線を交わす。こんなことがなければ印象に残りそうにない人相の30代男性、なんの感情も感じさせない表情を明美に向けている。
明美は男を睨みつけ、お尻の下まで下着を下げられてしまった底を弄られ、恐怖に涙を浮かばせる目で、講義と憤りを男に向けて精一杯の虚勢張った。
ここ最近は如何わしい追憶を彷徨わせる明美は、オリモノシートを下着に貼らなければいけないほど潤わせている。だからなのか男の指が1本2本と挿入を許し、男は明美と視線を合わせながら指を蠢かせていくのだった。
きつく男を睨みつける明美の目付きが揺らぐ。それでも女の意地で続けたが、不意にその視線を逸らして横を向く。それはそうだろう 、男から見て手前に曲げた指を繰り返し抜き差しされては、どうしようもない。
感じるところを的確に触れられて、膝の力が抜けそうになる。その指が抜かれクリトリスを執拗に擦られて、逃げる明美の腰を背後の誰かが阻止をする。声を殺す阿鼻叫喚を現す明美の表情が、男を喜ばせる。
明美の両手は屈強なペニスをそれぞれ握らされ、手の中で脈打つ感触を伝えてきていた。
戦意が失われた明美の片足が持ち上げられると、明美のそこに生温かい何かがあてがわれる。はっとした明美が顔を上げ、男に懇願するように激しく首を左右に振ってみせたが………。
苦痛を訴えるように明美の眉間に皺が刻まれ、太く硬い何かが体内に捩じ込まれるのを感じで顎が跳ね上がった。奥まで入ったそれが途中まで引き抜かれ、繰り返し行き来を開始する。歯を食いしばり、下唇を噛み直した明美の険しい表情が弛緩していく。
あぁっ…あぁッ……あぁッ…
男の動きに合わせ、明美の小さな掠れた喘ぎ声が無意識に漏れ出ていく。電車が駅に停車をし、人の出入りがある最中も明美たちを中心にした1団は、強固な壁を崩さない。その中でひとりの女が犯されているなどと、誰が想像するだろう……。
男女の結合部がいやらしい音を発し、背後の誰かにすっかり体を預けた明美が恍惚としていた表情を歪め、再び走り出した車両の中でペースの上がった男のピストンに、駄々をこねる幼子のように首を振る。
過呼吸になっていく分、猛烈な快感に体をくねらせながら男に支えられた体を明美は1度大きく弾ませ、小刻みに何度も震わせてしまった。
記憶にあるのはペニスが引き抜かれた後に、内腿に白い粘液が伝い流れて落ちていく光景だった。
気が付くとどこかの駅のベンチに座らされ、放心していたのだ。後で気付いたがそこは最寄り駅の3つ手前の駅で、トイレにか履けこんだ明美は、自らの体から漏れ出た匂い立つ精液で汚れた下着を脱ぎ捨て、気に入ってはいたが迷うことなく捨てた。
同じ精液ならあの少年のものが欲しいと、人妻らしからぬことを願う自分がいる。彼の精液で消毒して欲しいと………。
明美が後にしたトイレの個室の隅に設置されている汚物箱。そこには元は上品なレースが施され、大人のスタイリッシュなショーツが主を失った無惨な姿で残されていた。
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