性病検査も3回目になる。
どれも別の病院を受診しなければならなかったのが面倒だったけれど、運が良いのか不思議と陰性だった。
処方された緊急避妊ピルを服用し、鏡に映る自分の顔を見詰める。男に見初められる自分の顔は、どこにでもいる女にしか見えないのに……。
貴子は悩んだ末に思い立ち、イメージチェンジをしてみることに決めた。清楚なイメージを持たれる落ち着いた外見にしていたのは、勝ち気な性格を隠したかったからで、本来の自分に戻るようにパーマをかけた。スカートも一度封印してパンツスーツに変えて、ブラウスも都会派をイメージして黒や色付きのシャツを幾つも購入したのだ。
口紅も真紅のものにしようかと考えて、それではキツすぎるかもしれないとピンク色寄りの柔らかい色合いにしてみる。これが的を得たようにまったく痴漢の被害に遭わなくなった。客観的に見てもきつい性格の女にしか見えず、手を出そうものなら身の破滅を彷彿させるのだろう。
それも始めの数ヶ月までだった。触れてみたところで大した抵抗も見せず、睨み返されるだけだと分かると次第にエスカレートしていくもの。
少しずつ薄皮を一枚一枚剥がすように試され、決まった痴漢師に狙われるようになってしまった。
さすがに中年は恐れをなして近づかれなかったけれど、30代前後の複数の若い世代が入れ替わったように多くなった。
けれどパンツスーツに変えたことは大きく、服の上から触れてくるのがせいぜいなのだ。本当はそれでも面白くはないけれど、抵抗するのも面倒くさいときは無視した。不本意ながら上手な者もいて、貴子も人間で女である。身体の周期の関係から触らせてあげる日もないこともない。時には捌け口に利用するのだと自分に言い聞かせれば、お得なのだ。
誰にも言えないけれど、女も30を越えれば図太くならないと、やっていられないこともあるのだから。
この日はたまたま上手な男に当たったらしい。
電車の揺れに合わせて挨拶と言わんばかりにお尻を触ってきて、手の平を張り付かせてきた。その触り方から始めて触れられた相手ではなく、貴子の好みを熟知しているようにソフトタッチで攻めてくる。
満員に近い混み具合いの中でお尻から前へと手が回り、上下に擦ってくる。貴子は自分の体温が上がるのを感じ、周囲に悟られないよう平静を保ちながら、自分の前にいる人の頭や肩にそれとなく視線を向けていた。
まるで大きな1枚の木の葉のように痴漢師の手が股間に張り付き、恐らく中指だろうか、秘裂に沿って上に向かって擦られる。腰回りがタイトな造りのパンツだけに、刺激がそのまま伝わってくきてしまう。
擦るように動かされていた指を、まるで薬でも塗るようにピンポイントを攻めに転じてきた。
あっ……それ、ずるい…………
緩やかに上昇していた快度が急激に増していく。
痴漢の手の上に自分の手を重ね合わせ、痴漢の手の動きとシンクロして共に動く貴子の華奢な手。
痴漢の男も常々、不思議に思っていた。パンツの上からとはいえ触り心地にリアルな柔らかさを感じ、どんな薄手の下着なのかと考えていたのだ。
貴子の身体がピクンッ……!と跳ねた。手の甲を力強く掴まれて、終了を告げてくる。女と自分だけの声なき会話、それを理解した痴漢師の手が引いていく。達した女のそこはあまりに敏感で、これ以上は触れてくれるなとの意思表示である。
男は貴子が電車を降りるまで魅力的なお尻に触れ続け、その感触を楽しみながら開いたドアから降りていく後ろ姿を見送った。
あの股間のリアルな触り心地の答えはやがて知るところにはなると、この時の痴漢師はまだ想像をしていなかった。
1週間後、痴漢師の男の視界にあの女の姿をあった。電車に乗り込む前から側に近づき、そっと真後ろに立つ。彼女の姿を初めて認めてから半年、驚いたことにスカートを履いているではないか。
どういう心境の変化があったのか、痴漢に遭うかもしれないのは分かっているはずなのに………。
彼女は暖かくなったこの時期らしくデコルテが美しく見えるブラウスにジャケット、それに膝丈の薄いブルーのシフォンスカートという姿である。
さっそく自分の存在を知らせるために、いつもの挨拶のソフトタッチで触れてみる。
彼女もいつものように身体をピクンっと反応させると、後は何事もなかったように装うのだった。
これで触れてくる相手が誰であるか認識したはずで、心構えもできただろうか。男は少し迷ったものの彼女がせっかくスカートを履いてきたので、今までのようにバカ正直に衣類の上から触るのをやめにする。
少しずつスカートを手繰り寄せるように持ち上げて、不要に太腿を見せないように真後ろから手を侵入させた。びっくりしたことに彼女はショーツを履いておらず、パンティストッキングを直穿きしていたのだった………。
痴漢師の手の反応から驚いているのが伝わり、恥ずかしくなった。貴子は特段に変態願望があるわけではなく、下着のラインが浮き出ることを嫌っているだけなのだ。Tバックを履けばその形が浮き出てるだけで、どんな形だろうと薄手だろうと男性たちは即座に見抜く。痴漢ならば尚さらなのだ。
股の下に手が入ってくる。平静を装っていても恥ずかしいものは恥ずかしく、まるで確かめるかのように指先が動かされている。あれ……?とでもいうように指の動きが止まり、少しうごいては止まる。
マチ付きのパンティストッキングだと、気付いてもらえただろうか。クロッチにコットン製生地が付着したストッキングであり、下着のラインが出ることもなく通気性の良さが心地いいのだ。ただ普段はパンティライナー、オリモノシートという商品名の衛生シートを使ってはいる。尿や分泌液が直接付着すると、洗濯をする際に面倒だから。
痴漢をされることを考えたら前もって剥がし取ればいいし、今日あたりは来るんじゃないかと思っていた。あのソフトタッチに我慢ができなくなったのだ。毎回あんなに優しく触れられたら、誰れだって嫌でも身体が疼くというものだから。
とはいえストッキングの内布はとても薄く、貴子の溢れ出る分泌液を受け止めるのにも限界があった。嬉々として動かされる痴漢師の指が開発の進んだクリトリスを攻めるものだから、達しそうになる。
気付いてくれるだろうか、こちらの意図を……。
いつものようにオーガズムを望んでいるのかと思っていた。明らかに達する寸前なのに、彼女は指を制してくる。どういうことかと考えたけれど、いくら考えても見当がつかなかった。
そんな時、初めて彼女が股間に触れてきたのだ。スラックスの上から形を確かめるように握り締められ、擦ってくる。驚いたことにチャックにかけた指を下げると、下着から引っ張り出されるではないか………。
さすがにこれには狼狽えさせられ、公共の場の空気に触れる我がペニスが握られる興奮を抑えるのが大変だった。誰かに見られてはいないかと最初は気になって仕方がなかったが、それをいうなら痴漢行為そのものだって同じなのだ。
後手に愛撫をしてくる彼女の手に弄ばれ、我慢も限界に達した。明らかに彼女は誘っているとしか思えなかった。
ストッキングを破ろうかとも思ったが、嫌われたくなくて下げる方を選ぶ。細いウエストの上まで指を伸ばし、お尻の下までゆっくり下げていく。
お尻を押し付けてくる彼女が自らそこにあてがうとバトンを渡すように手を離し、後は挿入するだけだった。
片手で彼女の腰を掴み、もう片方の手をペニスに添えて先端が沈みはじめると、ゆっくり彼女の温もりの中へ飲み込まれていった。
久しぶりに膣の中に感じるペニスの存在感。
奥まで到達するのを待って、止めていた息をやっと吐き出した。派手に動くことは許されず、窮屈そうに小規模なピストンを開始されていく。
それだけでも十分に気持ちがいいけれど、彼の片手を取ってブラウスの中へと導く。教えたわけでもないのに貴子の意図を汲み取った彼が、勝手にブラをずらして乳首を弄びはじめる。
疼く身体を宥めるように地味なピストンが子宮の入口を圧迫し、摘まれた乳首が硬くなっていく。
誰かの咳払いが聞こえ、彼の腰の動きが止まる。それとなく辺りを目の動きだけで窺い見て状況を確かめ、慎重に再開をする。
肩のバックを掛け直す女性所作、頭を動かす男性や、誰かがスポーツ新聞をめくる音がやけに気になってしまう。この緊張感が背徳心を煽り立て、快感が一際現実味を帯びて感じられる。
貴子もお尻を押し付けるように動かし、ペニスを中で包容していく。それが新たな快感を呼び、彼を追い詰めていく。
奥を突かれるたびに膝が折れそうになり、膝が笑いはじめる。内股になって何とか耐え忍び、胸を揉む彼の手に、ブラウスの上から自分の手を重ね合わせる。
あぁ…いきそう……そこ、いい……
ぬっぷっ…ぬっぷっ…ぬっぷっ…ぬっぷっ…
ねぇ………いっちゃう………
ぬっぷっ…ぬっぷっ…ぬっぷっ…ぬっぷっ……
いく……いっちゃう…………………いっ…くっ……
胸を前にいる男性の背中に突き出すようにして、背中を反らせた貴子は顎を跳ね上げた。
子宮頚部に押し付けられた亀頭が膨らんだようになった刹那、勢いよく精液の放出が始まった。
恍惚とする貴子の目は閉じられ、ボカンと開いた口ががくがくとする顎によって閉開を繰り返す。
膣の中で脈動をするペニスの動きが、ただ堪らなかった………。
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