脂ぎった顔に薄ら笑いを浮かべながら、ポケット手を入れている。
ごそごそしてから再び見せたその手には、何やら細いコードが繋がった怪しげな物体を指に付けて、これ見よがしに遥香に見せつけた。
あまりに怪しげなそれを見て危機感を抱いた遥香は、静かな抵抗を試みた。
秘部に突っ込もうとする男の手を脚をクロスして遮り、両手で手首を抑える。
男の力は強く、空いている手で遥香の手を剥がそうとしては遥香は抵抗をする……。
その飽くなき攻防はしばらくの間続いたけれど、事は悲しい方向に傾いていく。
男の手は指も手首も太く、力の違いは歴然としていた。
遥香がストッキングを履いていたことも災いし、縦に傾けた男の手は滑るように内腿をすり抜けるようにして、中まで侵入を果たす……。
ストッキングとショーツ、それを重ねた下半身の秘部に異物感を覚えと同時に突然、振動が伝わりだした。
遥香は驚愕すると共に防ぎようのないこの状況に、絶望的な気持ちになった。
それはいくつか所持しているラブグッズの中に、この手の振動を起こす物があったからだ。
大きさや形はまったく違うけれど、その振動がどのように作用するのか、遥香はこの身を持って知っている………。
遥香は力いっぱい男の手を挟んで入れのに、男は指をうにうにと動かして反応を伺ってきた。
こんな男を喜ばせたくはなくて、遥香は必死に男の顔を正面から睨みつける。
歯を食いしばり反応を見せまいと、必死に堪え続ける。
こんな物に、こんな下卑た卑劣な男に負けるわけにはいかない。
折れそうな膝に力を込め、落ちそうな腰を叱咤して男の顔を睨みつけ続ける。
いつまでも、いつまでも、それこそいつまでも。
2分、3分、5分、7分………。
いくつかの駅が通り過ぎ、車両の真ん中にいては動くことも出来ない。
気を抜くと力が抜けてしまいそうで、全開に開いたファスナーを下げる余裕もない。
足がもつれそうで動かせないし、震えそうな手を即座に動かすことも出来そうにない。
うにうにと動かされる男の指は、相変わらず振動を止めようとしてくれない。
停車した駅で人の入れ替えが済んだ電車が動き出す衝撃で、体のバランスが一瞬崩れる。
その瞬間に寸でのところで均整を保っていた緊張の糸が、切れた………。
男の手が水平になり、敏感な所にダイレクトに当たる状態をついに許してしまう……。
前後にと指が動かされ、得も言われぬ快感が湧き起こる………。
体が動かない……。
動かせるわけがなかった……。
悔しいけれど遥香は、否応なく感じていた。
硬直しながら震える手を男の手首に添えて、どうにか引き剥がそうとても、力が入らない。
どうしよう、このままじゃ……どうしよう………。
焦る気持ちと裏腹に、迫りくるその時を嫌でも体が意識させてくる……。
正直な体と葛藤する心、それでも防ぎようのない快感が押し寄せてくる……。
意思とは関係なく熱くなる体、薄れゆく理性。
負けたくない、こんな男に負けられない……。
でももう………もう………耐えられない………。
そう思った瞬間に堤防が崩れ、川の水が漏れ出すように快感に飲み込まれていく遥香。
両手で男の手首を掴み、声なき声で喘ぐ……。
いやらしく動かす男の指が、憤ったように勃起したクリトリスを遠慮なく刺激する。
その時は静かに訪れた。
訳が分からないまま絶頂し、尚も続けられる卑劣な所業に遥香は悶絶した。
苦しくて気持ち良くて、苦痛と快感が混在する苦くて甘いその感覚が継続する……。
やがてその中から快感だけが突出して遥香を苦しめ、すぐに次のオーガズムがやって来た。
でも、男はやめなかった。
その最中に男は密かに空いている手の指に、自作の指サックを装着する。
何のことはなく女性用の電動バイブの内部を取り去り、指を入れただけの物体である。
その威力は実証済みだったのだ。
苦しみの挙げ句に3度目のオーガズムを迎えてしまった遥香に、もう抵抗する力も気力も残っていなかった。
男は難なくストッキングを破り、ショーツのそこを横に退ける。
卑猥に裂けた割れ目は溢れた愛液に満たされ、男の指に装着した物に塗りたくると、先端に少しづつ力を加えていく。
入口が窪み始めると、後は勝手に吸い込まれていくように中へと入っていった。
後は梃子の原理で指を上下に動かすだけで、手動バイブを思い通りに動かせる。
入口に近いGスポットをしばらく攻めると遥香は静かになり、恍惚として色気のある女性の顔を見せ始めた。
間近で反応を見ながら動かす速度、深さやペースを調節し、男は皮脂で光るその顔に笑みを浮かべる。
手首を使って奥まで入れるとこっちのほうが好みらしく、腰が動き出した。
指を通して子宮口に当たる感触を確かめ、加減を見極めながら当てていく。
決してオーガズムに導かないように注意して、焦らして焦らして、遥香を攻め続けていく。
マリオネットと化した遥香は、男の言いなりになるしかなかった。
次の駅で男に連れられてホームに降り立った遥香の膣の中には、バイブが入ったままである。
ややガニ股気味で歩かされ、駅の外にある公園に設置された公衆トイレに連れ込まれていた。
嫌で堪らないのに抵抗もままならず、ショーツを降ろされバイブが引き抜かれる。
男がズボンのチュックを下ろし、不潔なペニスを出したところでやっと逃げ出そうと出口に向かって足を踏み出したとき、壁に押し付けられていた。
腰を掴まれると、息が詰まる圧迫感と共に貫かれていた。
赤黒くて太い不潔なペニスが奥まで届き、立て続けて打ち込まれる苦痛と入れ替わるように快感が押し寄せてくる。
男の臭い息が吹きかけられても逃げ出すことは難しく、なされるがままに遥香はペニスの味を味わった。
そこに道徳心は存在せず、ブライドも捻じ伏せられて出し入れされる快感に支配されていく。
遥香が上り詰めようとしたその時、唸り声を上げた男が中に射精した。
ペニスを引き抜いた男がボ〜っとした遥香を個室に引き入れ、便座に座った男の上に引き寄せられる。
膣壁が広がる感覚と共に快感を感じ、奥を押し上げられる鈍痛に顔をしかめる遥香。
男に掴まれた腰を揺らされて思い出したように、自ら腰を動かしはじめる遥香に求めていた快感が押し寄せる。
自らが発する卑猥な音も気にならず、一心不乱に腰を打ち下ろす遥香はもう、何も考えられなかった………。
一方で遥香たちが降りた車両には、仕事帰りのある女性がひとり乗り込んでいた。
中村佳穂、27歳、独身……。
さっぱりした性格の美人の彼女は、夢だった飲食店を出店する為、テナントの契約を済ませた帰りだった。
銀行の融資をやっと取り付け、小さなお店だけれど店員の面接も済ませ、後は開店の準備をするだけである。
着慣れないスーツを着て、混み合う電車に疲れてきたところだった。
これから毎日乗るのだから、慣れなければと自分を叱咤する。
明日の予定は………。
そんなことを考えているときだった。
お尻に違和感を感じ、気が付けば前後を男たちに挟まれ、周りが不穏な空気に囲まれていて………。
20分後の佳穂は、片脚を持ち上げられて下半身のそこに口を付ける男によって喘いでいた。
後ろにいる男に胸を揉まれ、空いた手で口を塞がれて、横にいる男にもう片方の乳房の乳首を吸われている。
しゃがみ込み込んだ男は可愛らしさと美しさの入り混じる、そんな顔に似合わず陰毛の濃い秘部に口を押し付けている。
まだ綺麗な色の割れ目を開き、舌全体をピンク色の粘膜に這わせて微妙な力加減で吸ったり、舌をうねらせるように動かしたり………。
小陰唇、大陰唇、尿道入口を丁寧にしゃぶり、ついにはクリトリスを丹念に愛撫した所で佳穂は堕ちていた。
前後不覚に陥った佳穂はクリトリスを優しく丁寧に愛撫されるのが好きらしく、感じやすいと見えていとも簡単にオーガズム迎えていた。
敏感になった体は割れ目の内側を舐めるだけでも気持ち良いらしく、散々に焦らしてクリトリスの愛撫を再開すると、激しく感じた。
そう………彼等は遥香を骨抜きにした痴漢集団である。
ペニスを挿入すると目を見開いて驚愕していたけれど、数分後には目をとろ〜んとさせて体を揺らしていた。
あくまで優しく丁寧に、苦痛を与えず腰を躍動させていく。
まだあまり奥を突かれることが好きではないらしく、その手前で押し止める。
その代わりにGスポット辺りが堪らないらしく、悩ましげに深い皺を眉間に刻む。
カリ首の発達した男のペニスはその実力を発揮させ、スローペースで膣壁を行き来させていく。
佳穂はその快感を享受せざるを得ず、その堪らない快感に酔いしれている。
葛藤も羞恥心も恐怖も今は置き去りにして、終わりの見えない快感だけが支配している。
佳穂の喘ぎが一際強くなり、首をくねくねと捻りながら顎が上を向く。
そして………。
体を激しく弾ませて、甘いオーガズムを迎えた。
口を塞がれて鼻息の荒い佳穂の首筋に舌を這わせ、勃起した乳首が舌に転がされ、優しくしゃぶられる。
ゆっくりと波が引いていく様を表情から読み取って、ピストンが再開される。
甘く切ない快感がじわじわと沸き起こり、佳穂は初めてもっと欲しいとの想いを無意識に腰を動かすことで、彼等に伝えてしまった。
男のピストンするペースが不意に、早くなる。
3人の男性にしか体を許したことはないけれど、こんなに気持ちいいと思ったことはない。
感じる所に的確に当たり、丁寧で優しくて、好みのペースで動いてくれる……。
クンニだってあんなに丁寧で、少しも痛くなかった……。
いつまでも気持ちよくて、どこまでも感じさせてくれる………。
それこそイクまで動き続けてくれるなんて………。
佳穂は考えるでもなく心でそう感じて、耐え難い快感が押し寄せる狂おしさに息が苦しくなってきた。
聞こえているはずの聴覚も麻痺をし、瞼を閉じているはずの視界が白くなる……。
そして………。
ペニスが引き抜かれたそこからは、どろりとした白い精液が肛門を伝いながら流れ落ちていた。
持ち上げられていた片脚を降ろされると、今度は後から貫かれる佳穂……。
容赦のない腰の躍動に酔いしれ、泡立った精液混じりの愛液が結合部から溢れ出る。
前屈みになって揺らす乳房に吸い付かれながら、意識が遠退いていきそうになる……。
それを激しい快感が許してくれず、覚醒させられる。
口を塞がれながら佳穂は絶叫し、二人目の精液をその体の中に受け入れていた。
気が付いたときには駅のベンチに座り、ぼ〜っと前を眺めていた。
手には走り書きの文字が書かれた紙と、薬らしき物が握らされているのに気付く。
紙にはアフターピルと書かれていて、スマホ検索して確認せよとある。
今は妊娠している場合ではない。
悩んだ挙げ句に結局それを服用し、一週間と数日後に生理は来た。
不安がなかったと言えば嘘になるけれど、不思議と走り書きされた文字を信じる気になっていた。
お店は無事に開店していた。
仕込みの手が空くと今でも恐怖心が湧くけれど、すぐにその感覚は違う感覚に打ち消されてしまうのだ。
目眩がするほどの、快感………。
特に印象的だったのは信じられないほど恥ずかしかったのに、いつの間にか堪らなく感じさせられた、あのクンニリングス……。
今でも思い出すたびに死ぬほど恥ずかしいのに、体が熱くなる………。
もう一度あれをされたい気持ちを佳穂は、消すことが出来ないでいた。
それをしてくれる相手はいない。
いたとしても事細かく要求するなんて、恥ずかしくてできるわけがない。
中に出されたことを除けば、挿入されたあれは信じられないくらい気持ちよかった。
あんなに感じさせられたピストンは、初めてである。
そんなことを思い出していたらいつの間にか下着が不快に感じ、いわゆるオリモノとは違う濡れ方に気付いてしまった。
病気と妊娠の心配がないならば、もう一度………。
そんな不謹慎な気持ちが佳穂の中に、確かにある。
やっぱり怖いけれど………。
その日は意外に早くやって来るなんて、この時の佳穂には知る由もなかった………。
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