これまでの人生でも、痴漢の被害に遭ったことはもちろんある。
特に高校時代は週に数回、社会人となった20代の頃は月に数回は被害に遭ってきた。
不謹慎だけれど男から見て獲物になる若い女性はいくらでもいるというのに、なぜ40歳を目前とした自分なのか、遥香は理解出来なかった。
2人の男に代わる代わる犯されて、正直いってあのときは不覚にも夢中になって……いや、夢中にさせられてしまった。
今回も複数の人間が関わっていて、実際に挿入してきた人間以外にも胸に手を伸ばしてきた者も確かにいた。
でも積極性に欠けていたというか違和感があるといか、毛並みが違う気がする。
そこで遥香は気付いた。
横から胸を触ってきただけの誰だかわからない手は、その場に居合わせただけで、飛び入り参加した人間なのではないか、と…………。
そうだとするならば、恐ろしいと思う。
誰しも欲望はあるけれど、理性で抑制するのが人というものだ。
それが特殊な環境に身を置いてしまうと、いとも簡単に一線を越えてしまう……。
考えられないことではなかった。
もう、たくさん………。
考えてもおよそ間違ってはいない事実が判明するだけで、怖くなる。
遥香はバスタブに浸かる体をキュッと抱き締めると、湯の中で豊かな乳房が窮屈そうに形を歪ませていた。
腕時計を確認すると、15時半を回っている。
今日はお花見をする予定があった。
今からなら直行すれば、少し遅れて合流できそうだった。
今日は遠方の取引先に出向いていたこともあり、途中で帰宅ラッシュに巻き込まれることは間違いない。
経験を積ませるために部下のひとりを同行させていた遥香は、急いで改札を通過した。
乗り換えを含めて1時間ほど経ったころだった。赤ちゃんを乗せた車を押して、遥香とそう変わらない年頃の男性が乗り込んできた。
当初はドア付近に居た彼だったけれど、帰宅ラッシュの時間と共に混み出したこともあって、乗り込む乗客に押されて中程まで流されてきた。
あからさまに邪険にするサラリーマンもいて、どうして労る気持ちを持てないのかと腹が立つ。
彼と目が合った遥香は柔らかい表情で自分の後へと誘導すると、申し訳なさそうに来てくれた。
ふり返って覗き込むと、健やかに眠る赤ちゃんの顔が見える。
新米パパに微笑みかける遥香は、忌々しそうに見る先ほどのサラリーマンを睨みつけると、彼は急いで顔を背けてしまった。
遥香の心に爽やかな風が吹く。
このところの暖かさで桜の開花も早まり、遥香の着る服もスーツばかりではなく、ビジネスの場でも差し障りのないものも身に着けるようになってきた。
今日は白の襟なしのアウターに清涼感のある水色のアコーディオンスカート、紺色のジャケットを選んだ。
薄手の生地のスカートだから内側に薄い裏地があるけれど、気おつけないと光の当たり加減で下着が透けるきらいがある。
至近距離で遥香の後にいる新米パパは、赤ちゃんの様子を見るたびに、下を向く。
その彼が、気付いてしまった。
蛇腹状のスカートなのに、薄っすらとショーツのラインが見えていることに……。
普通ならば気付かないのだろうけれど、この距離で凝視できるとなると話は違う。
自分とそう変わらく見える女性ということは、そろそろ体のラインが崩れてくる年頃でもある。
それなのに斜め上に駆け上がるショーツラインからは、お尻の形を如実に物語っている。
大き過ぎず垂れてもいない、程よくグラマーでありながらキュッと上に持ち上がった美しい形をしていると分かる。
お尻を全てカバーするフルバックショーツではなく、お尻のお肉を3の分2ほどしか隠さない面積の少ないショーツ………。
そのセンスの若さが、見た目の若さにも現れている。
急速に血流が1箇所に集まる感覚を覚え、新米のパパは動揺を隠せなかった。
子育てで疲れ果てた妻は夜の性生活を受け入れる余裕がなく、もう半年もご無沙汰だった。
ジャケットを着ていても細いウエストが如実に分かり、そのスタイルの良さを想像させる。
隣に並ぶ若い彼と時々会話を交わしているけれど、同僚だろうか。
たまに髪の毛を耳にかける仕草が、まだまだ若々しい彼女の色香を漂わせる……。
彼の中で、何かが弾けた。
スカートの蛇腹状になった細かな折り目に沿って指を下に向け、スカートから魅力的に隆起するお尻に手を添えていた。
遥香はうつむき加減にしていた顔を、ハッとしたように持ち上げた。
新米パパの手は2つの丘を橋渡しするようにお尻の中央に置かれ、中指がお尻の溝に埋まるようにめり込んでいた。
ゆっくりと上下に動き、左右の柔らかいお尻の肉を労るように触れていく。
何度か後ろを気にする素振りを見せる遥香だったけれど、その手の主が分かっているだけに動揺を隠せなかった。
あの優しそうな父親がこんなことをするなんて、どうして………。
成敗することは難しいことではない。
でもそれをすれば、あの赤ちゃんはどうなる……?
夫婦仲は?……家庭は……?
一時の気の迷いでいて欲しいと、遥香は願った。
それなのにスカートを上に手繰り寄せようとする、そんな気配が伝わってくる。
間違いであってほしい………。
そんな遥香の願いも虚しくショーツ越しに手の温もりが感じられ、ストッキングを履いてこなかったことが悔やまれた。
今日は初夏の陽気になると分かっていたのだから、無理もないのだけれど……。
これまでの痴漢と違って探るようないやらしさがなくて、いかにも素人らしい触り方だった。
彼の指がお尻の溝を伝って下まで進み、触れてほしくない割れ目に到達する。
その柔らかさを堪能するように、ゆっくりゆっくり指が前後する。
遥香の中で、何かが変化しようとしていた。
優しい手触りでその部分を行き来を繰り返し、体がザワつき始める。
ふっくらとした両岸のお肉が血流が良くなってわずかに厚みを増し、閉じていた岸が離れはじめた。
遥香の呼吸する息が、熱を持ち始める。
地割れして割れ目の溝が深くなると、そこを中指が前後に往復し始める。
敏感な所に指先が触れるたび、官能のさざ波が静かだった水面を波打たせていく。
柔らかく滑りの良かったクロッチが、不意に通りづらくなる。
生暖かい湿り気が指の腹を濡らし、浸潤する領域が少しづつ広がっていく。
もう遥香は自分から部下に話題を振ることはなくなり、時おり話を振られても簡素な返事になっていた。
そうね、いいんじゃいかしら、どうかしらね、いいわよ、うん、うん、うん………。
部下に悟られないように、簡素な返しでも笑顔を作ることでやり過ごす……。
彼の指の腹が敏感な所を転がすように擦り、部下の話が頭で咀嚼出来なくなりそうだった。
下唇を舐めて、遥香は自分を保とうと努力する。
再び遥香はハッとした。
彼の両手の指がショーツの両サイドに差し込まれ、それぞれ横に浮かせてお尻の下まで下げたのだ。
手がお尻の下に侵入し、直に指が触れられる。
潤んで滑りの良くなったそこを前後に動き、敏感な所に触れる。
優しく回すように包皮を擦り、揉みほぐすように指の腹でわずかに力を加えて上下に刺激する。
クリトリスの先が見え隠れするように動く包皮が、快感の厚みを増幅させる。
内腿に力が入り、彼の手を挟む。
これ以上されると、誤魔化しきれなくなる……。
揺れそうになる腰を堪えると、部下とは反対側の膝を曲げたり伸ばしたりして喘ぎの代わりとし動かした。
そうでもして発散しなければならないほど、遥香は感じていた。
分かりやい反応を見せたからか、彼の攻めは深追いをすることなく矛先を別の場所に移す。
2本の指が押し広げながら、ゆっくりと入ってくる。
後から挿入されているからか指の腹がお腹側にある気持ち良い所に十分に触れないけれど、この今の状況ではあまり感じさせられても困る。
それでも中で行き来する指が、遥香の体温を確実に上昇させていく。
手のひらでそこを覆うようにして、指の付け根まで入れて優しく出し入れされる………。
遥香の頭が頷くのとは逆に、下ではなく上に持ち上がる。
中で指に絡みつく膣壁が、まるで指を責めるように締め付ける。
遥香が感じてくれる喜びが堪らなくて、手首が疲れてもひたすら動かし続ける……。
部下が遥香の変化に気付き、どうかしましたかと問いかけた。
それを遥香は理由をつけて、さらりと受け流す。
どうするべきか、もう潮時かもしれない………。
そう思ったとき、彼は気付いた。
若い同類、部下らしい彼の反対側の肩から下げたショルダーバッグと体の間にある彼女の手の細い指が、スカートの上からお尻の横に爪を立てている……。
決して抵抗を見せず、受け入れてきた彼女。
最初こそどうかは分からないが、今は確かに望んでいる………。
彼は指を動かしながら、空いている手をズボンのチュックに触れさせていた。
その手がいま、ゆっくりと下げられていく………。
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