口に含めたなら、楽しめるのだろうな………。
指先に感じる乳首の感触が、彼にそう思わせる。
硬めのグミのように張りがあり、指の腹で押し倒されて、くにゃっ……っと根元から倒れては即座に起き上がる。
ふにふにと優しく摘みながら乳首の先端に向かって、すぅ〜っ………っと離してみる。
その瞬間、朋美が背中をぶるっ……っと震わせて、大きく吸った息をゆっくり吐き出していく。
こんな弄ばれかたは、嫌っ………。
歯痒くて、恥ずかしくて居たたまれなくなる。
平静さを装うぶん理性で自分を保とうとする働きが、周囲に対するアンテナを敏感にさせる。
誰かに見られていないか、気付かれてはいないだろうかと………。
理性から逃れようと官能のエリアへと気持ちを傾ければ、足元がブルーからパープルへと色が変わりだす。
でも羞恥心と踏み出しきれない緊張感が、朋美の気持ちを阻害する。
安全地帯へ逃れようとする気持ちが自尊心を奮い立たせ、拒絶反応を刺激する。
けれども手放したくない気持ちが欲望の炎を消しまいと、女の業を盾にする。
そんな朋美の葛藤が身体の体温を上昇させて、服の下が汗ばんでいく………。
そんな朋美の気持ちを見透かしたように、正面に座る乗客の右隣、朋美から見て左側の老婆が頭を上げた。
気持ちよさそうに頭を垂れて、束の間のうたた寝で俯いていたから気付かなかった。
ぼぉ〜っとした頭を瞬きをして、今はどこまで来ているかを確かめたくて周囲に視線を走らせる。
その彼女の顔を見て身体を強張らせ、朋美に緊張が走った。
今も実家の近くに住んでいる、ご近所さんではないか………。
朋美が小さい頃から知っている彼女は当然、成長した朋美の顔を見ても気付かないはずはない。
気付かないで、お願い……もう一度寝て……。
そんな朋美の願いも虚しく、視線を上げた老婆はすぐに大人になって久しい朋美に気付いた。
無理もない、お盆と正月の年に2回は里帰りをすれば、何かと顔を合わせるのだから………。
あら〜、朋美ちゃん、今帰り………?
老婆の会話の出だしは、こんな感じだった。
困惑しながらも顔には出さないように、笑顔を返す朋美……。
幸いなことに乳房を弄んでいた彼が、両手を引っ込めていく。
老婆が彼女の胸の前が蠢く不自然さを見逃すはずはなく、胸からは手を引かざるを得ない。
そう、乳房からは………。
この女性の心中は分からないけれど、このまま手をこまねいている気は毛頭ない。
彼は次の標的をすでに、決めていた。
彼の視線は朋美の下半身に向けられ、コートの下のほうに開いたスリットへと手を伸ばしていく。
お尻に触れられた朋美がビクッ…っと身体を震わせた………。
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