世間はゴールデンウィークに浮足立ち、連日テレビで観るニュースは観光地の混雑日ぶりを放送している。
祭日は仕事のダンス教室のインストラクターから解放される貴重な休みだけれど、尾藤明日香にとってあまりありがたいものではなかった。
何が悲しくて人混みに揉まれなくてはいけないのかと、どうしても思ってしまう……。
だから26歳にもなって未だにディズニーランドにも行ったことがない、天然記念物級の変わり者として、友達からは不思議がられている。
せっかくの休みはどこに言っても混んでいるし、1日くらい寝ていようかしらと画策する明日香のスマホに、着信が入る。
それは結婚した姉からで、彼女はどうせ部屋に引きこもっているに違いない妹を見抜いていた。
どうせ暇なら家に遊びにいらっしゃいと、我が妹をベッドから引き剥がした。
義理兄である姉の旦那さんはカレンダー通りに休めない仕事に就いているので、姉も小さな子供を1日中、世話をするのがしんどいのだろう。
久しぶりに甥っ子の顔も見たいし、仕方なく温もりの残るベッドから明日香は起き上がった。
シャワーを浴びてから何を着ていこうかを考える。どうせ近くの公園で甥っ子を遊ばせることになるだろうと予想して、ボトムは黒のスパッツ。
トップスは腰の下まで裾がある白のチェニックを選んだ。
インナーはスパッツに合わせて黒のブラトップであるキャミソールにした。どうせ動き回るのだから、楽な服装のほうが良いに決まっている。
トートパックに必要な物を入れて明日香は最寄りの駅から電車を乗り継ぎ、姉の住むマンションに辿り着いた。
たった1年しか離れていないのに、甥っ子の成長の早さびっくりした。
4歳になった彼は最初は照れ臭そうに母である姉の背中の後に隠れ、話し掛けても頷くだけで目も合わせてくれなかった。
それが来る途中で買ってきたシュークリームを出して、一緒に食べた頃から明日香にベッタリになった。さすが子供である………。
オヤツをお腹に収めると彼は明日香を公園へと誘い、鬼ごっこをせがんだ。
疲れ知らずの子供の相手はダンスを教えている時とは違い、なぜか疲労度が酷い。
しこたま遊び、自宅に戻ると電池が切れたように彼は眠ってしまった。
お疲れ、これで夜もぐっすり寝てくれるから助かるわ………。
労いの言葉をくれる姉は母親の顔をして、満面の笑みを浮かべていた。
あまり子供が得意ではない明日香だったけれど、何だかんだ言っても天使の寝顔で夢の世界で遊ぶ甥っ子は可愛い。
どうして楽しい時間は経つのが早いのか、夕食を食べていけという姉の申し出を明日香は断った。
帰る際に甥っ子に泣かれるのが辛くて、姉もそれを知っているから苦笑いを浮かべながら玄関から見送ってくれた。
バス停でバスの到着を待つ間に天気が怪しくなった空を見上げ、傘を借りてくれば良かったかな……なんて危ぶむ明日香の肌に雨粒が当たる。
ヤキモキしながら見え始めたバスを見ていると、近年の熱帯化したゲリラ豪雨の歓迎に遭ってしまった。
あと少しだったのに………。
わずか100メートルまで近づいていたバスに乗り込んだ時には、全身がずぶ濡れ………。
このまま濡れ鼠で冷房の効いた電車に揺られていたら、風邪を引いてしまう………。
明日香は終点でバスを降りると駅に併設されているトイレに入り、個室の中でチェニックを脱ぐ。
こんなことならブラジャーを着けるべきだったと後悔しても遅く、濡れそぼったキャミソールも脱いでトートパックに入れる。
ブラトップだったから当然ノーブラになり、少し不安だったけれどトップスが身体にゆとりのあるチェニックなのが救いだった。
明日香はいつでもバッグの中に絆創膏とスカーフの他、細いベルトを忍ばせている。
明日香は以前に交通事故に遭い、軽症だったけれど偶然そこに居合わせた看護師の女性に手当を受けた。
彼女はしていたスカーフを取ると止血のために、明日香の腕を縛ってくれたのだ。
数針を縫った怪我の跡は今も残っているけれど、この傷跡を見るたびにあの女性のやらしさを思い出して、心が温かくなる。
明日香は以来スカーフは必ずバッグに入れるように心掛け、絆創膏は言わずもがな。
細いベルトも役に立つと考えて入れていたけれど、こんな形で役立つなんて皮肉である。
身体にふんわりとゆとりのあるチェニックだから、少し浮かせてウエストをベルトで締めてあげれば見た目にもおかしくない。
何よりも、乳首が目立たたくて済む………。
早く帰宅してシャワーを浴びたいな………。
トイレから出て階段を上がる明日香の後、そこにひとりの男がいた。
何気なく見上げたところに明日香のお尻が目に入り、あまりの形の良さに釘付けになった。
ぷりぷりとして、よく見れば薄っすらとショーツが透けているではないか………。
ホームに上がると明日香の後に並び、その男の後に並ぶ男たちは無情にもすべて男の仲間たち……。
このとき明日香は近い将来、自分の身に起きるであろう惨劇を予想もしていなかった………。
ホームに滑り込んできた電車のドアから乗客たちが吐き出されるのを待って、乗り込む。
ドアのすぐ横の手摺りを掴んでそこに立ちたかったのに、後から押されて叶わなかった。
仕方なくドアの前に立つ明日香の目の前にいる男の背中を見詰め、動き出しだ電車の揺れに両足を踏ん張って耐えた。
ドアの横の手摺り付近も明日香の前も横も、そして後も男たちによって固められ包囲されていた。
明日香は胸の前で腕を組み、胸が当たらないようにガードして凌いでいた。
何となく不穏な空気を感じ、不安になる。
こういう時の女の感は、どうして当たってしまうのだろう………。
明日香のお尻に男の下半身が、当たった。
電車の揺れに合わせて着いたり離れたり、後から押されたのかついには密着したままになった。
あまりに薄手のスパッツは男の形を繊細に受け止めて、大きくなっていく一部始終を感じさせられてしまった。
気持ち悪くて腰を捩り、何とか意思表示をしたつもりである。
なのに仕方がないだろうとでも言うように、男は離れようとはしなかった。
明日香も不可抗力を分からないでもないけれど、
てはどうしてお尻の割れ目に埋めたままにしているのか………。
男の生理現象って、大っ嫌い………。
忸怩たる気持ちを何とか宥め、明日香は手を握り締める。
そんな明日香の腰を後の男がなぜか、両手で抱え持った。
ハッとした明日香が思い切り肘鉄を食そうとしたところを横にいる誰かに腕を拘束され、反対側の腕も同じように抑えられてしまった。
何が起きているのか、頭がパニックになる。
両腕を左右からがっちりと拘束され、後にいる男がお尻に手を這わせてさわさわと徘徊させる。
明日香の前で背中を向けていた男が身体を反転させ、向かい合わせになると恥部に触れてきた。
男の指にふにゃりと柔らかい感触があり、割れ目に指が食い込む。
明日香の腕を拘束するそれぞれの男たちが胸に触れ、目を見開く。
片側の男が身を捩る明日香からベルトを外すと、左右の男たちの手が侵入してしまった。
強気に睨みつけてくる明日香を見詰め、乳房を揉みしだく。
それでも暴れようとする明日香………。
その彼女の履くスパッツに手が掛けられ、無情にも下げられていく………。
わざと明日香が動き辛くなるように太腿まで下げられ、容赦なくショーツも下げられてしまった。
ビキニラインからIラインまで綺麗に陰毛は処理をされた、そんな閉じた割れ目が露わになる。
そこを男の指に侵入され、明日香は息を飲んだ。
悔しくて涙で視界が歪み、唇を噛む。
もう、消えてしまいたかった………。
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