定時きっかりにタイムカードを押して、駅前にあるスーパーマーケットで今晩のカレーの材料を買った。
家で待つ9歳の息子は空かせた腹をカップ麺でとりあえず満たし、帰りを待っているはずである。
バス停には数人の待ち人がすでにいて、食材の入ったトートバッグを肩から下げた石井杏奈の後ろにも後から3人の男性が並んだ。
バスが到着すると先に乗り込んだ者は目敏く空席を見つけ、奪われてしまった。
自分の前に数人が並んでいる時点で期待は持てず、杏奈は乗客で半分ほど埋まった車内の中を、幸いにも空いていた吊り革を掴むことが出来た。
邪魔になるといけないのでトートバッグを肩から下ろし、体の前でぶら下げる。
乗り込んでからほとんど移動も出来ないほど帰宅ラッシュの車内は、座席にありつけた杏奈の目の前に居る初老の男性は居眠りを始めている。
杏奈の両隣も男性で、右側の人なんか杏奈を追い越して行った男性だった。
そうまでして座りたいのかしら……ほら見なさい、この時間だから座れなかったでしょ……?
内心で彼に語りかけ、御生憎様と呟いてみる。
それにしても今日はいつもより混んでるみたいだと、後ろにぴったりと張り付く人の気配にうんざりする。
40を過ぎて少しだけ肉付きが増した体にホワイトジーンズが良く似合い、薄手のトップスにやはり薄手のアウターというどこにでもいる主婦らしい格好である。
やだ、いくらなんでも引っ付き過ぎよ………。
杏奈がそう思うほど後ろの男性は、自分の股間を杏奈のお尻に密着してくる……。
バス停にいるとき自分の後ろに並んでいた男性のうちのひとりだと、そう記憶している。
不意に伸びてきた手が腰に回されて、びっくりした杏奈は振り払った。
何でこんな平凡で若くもない自分なの………?
混乱する頭で執拗に触れてこようとする後からの手と、攻防を繰り広げていく……。
初めに自分の左側にいる男性が杏奈の異変に気付き、次いで右側の男性も何事かと言うように注意を向けてくれた。
助かった、これでこの痴漢から逃れられる……。
そう安心できる、はずだった………。
えっ?……どうしてなの………!?
理由が分からない……。
杏奈の左側にいる男性に、自分の左手が拘束されたのだ。
その間に後ろから伸びる手がジーンズのボタンを外そうと、四苦八苦している。
拘束された手に持つバッグを揺らし、抵抗を試みたものの奪われ、下に置かれてしまった。
急いで吊り革から右手を離し、抗うための武器になるはずだったのに、右側の男性に拘束されてしまった。
何なのだ、何が起こっているのかと尋常ではない事態に改めて戦慄が走る………。
杏奈はジーンズのボタンをゆっくりと外され、下げられていくファスナーを黙って見ていることしか出来なかった。
見えるお腹の肌とショーツの一部が晒されても、履いているジーンズは体にぴったりしたスキニータイプ………。
それでもお構いなしに少しだけ下げられ、手の平をお腹に這わせて伝い落ちていく……。
指先がショーツに引っ掛けると難なく潜り抜け、その先へと侵入してしまった………。
緩いウェーブの掛かった密林を抜けて、一本の溝が走る土地に辿り着く。
手首まで潜り込ませた手は下まで指先が伸びて、一際柔らかい肌を覆い尽くす……。
いくらかハミ出たビラビラが上下させる指に触れ、成熟した女を感じさせる。
2本の指が大地を左右に開き、中指が裂け目の上の方を弾いて、小さなのの字を描き出す………。
憔悴した杏奈の顔が、凍り付いた無表情に変化すると引き結んだ唇に力が籠もり始めた。
幾年女を生きようともそこが特段、鈍感になるとはない。
杏奈の膝は、内股へと変わっていた………。
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