電車内でセックスなんてあり得ない。
綾自身信も以前はそう考える人の1人だった。
常識的に考えれば、誰だってそう思うものだ。
今は当然、違う………。
何度もそんな目に遭遇していれば、考えだって嫌でも変わる。
自分がそんな被害にあうのなら、人知れず同じような被害に合う女性がいても何の不思議もない。
男女平等が叫ばれても女性の地位向上が進まないこの日本に、強く生きる女性は増えた。
それでも表立って声を挙げられない女性は少ないくないと、綾香は思う。
逞しい女性なのかどうか自分では分からないけれど………と、綾香は立ち止まる。
花の甘い香りに蜂が誘われるように、自分は男を惹きつけてしまう何かがあるのだろうか………。
そのお陰だとは言いたくないけれど、性的欲求を図らずも満たされる皮肉な結果になっていた。
いつも喜ばしい事態にならないから手放しに喜ぶことは出来ないけれど、こんなことがいつまで続くのか。
出来ることなら心許せるパートナーと心行くまで……と思うけれど、先日のことを考えると積極的に男性を求めることを躊躇してしまう。
自分で思う以上に綾香は性欲を抑えられなくなってしまったことに、男性は嫌気が差して去っていくのではないか………。
きれいな花には棘があるというが、自分という花には毒があるのかも知れない。
強すぎる女の性欲は、寄ってきた男でさえ逃げ出していく。
先日の悪ガキ共もあれ以来、二度と綾香の前に姿を表さなくなってしまった。
無理もない。
最後に繋がった彼は綾香に離してもらえないまま二度目の射精を迎え、その後も続けて4回も射精させられたのだ。
恐らく最後は精液はほぼ出ておらず、精液が出ないまま形ばかりの射精を5回、6回と綾香に強制させられていた。
つい先日に偶然にも彼を駅前で見かけた時、綾香は息を飲んだ。
3ヶ月しか経っていないのに、染められていくらか伸びた髪の毛の根本が白髪になっていたのだ。
自業自得といえばそれまでのこと、他の女性なら立ち直れないほど心を病んでいたのかも知れないのだ。
綾香も自身に苦しみ、自分に興味を持って近づく男性を寄せつけなくなっていた。
その中には誠実な男性も少なからずいるのは分かっていたけれど………。
自分から去っていくかもしれないことを思えば、怖かったのだ。
もう私は一生、1人かもしれない………。
表では笑顔を見せていても、内心では心を閉ざして生きていた。
少なくとも自分に寄ってくる男性には、特に……。
相変わらず通勤、帰宅時に電車内の痴漢は度々あった。
けれどパンツスーツしか身に着けなくなったことで触られる程度に終わり、綾香はその相手の足を思い切り踏んづけて撃退することが常になった。
自分の性欲は自分の中で抗議の声を上げていたけれど、これでいい……。
一生自分の中に封印すると、綾香は決めたのだ。
自分意外は誰も、傷つかなくなるのだから……。
この日、久しぶりにワンピースに身を包んだ綾香がいた。
足首近くまでのロング丈、カーキ色の落ち着いたシンプルなデザインが大人の魅力を静かに演出させている。
それをベージュのブレザーが堅さを抑え、柔らかい印象に上手く調節していた。
いつもの混み合うターミナル駅を出発してから間もなくのこと、満員電車は突如として停車した。
動揺の広がる車内に独特の声のアナウンス流れ、人身事故が発生したと告げられていた。
方々から溜息のする音が聞こえ、舌打ちするチッという音まで聞こえてきた。
5分、10分、20分………時間の経過とともに車内の温度が上がり気分の悪くなる人が出はじめた。
その人がしゃがみ込んでしまったのか、ただでさえ混み合う車内にゆとりがなくなってしまった。
人の群れがより圧縮し、綾香の場所までそれが押し寄せてきてきたのだ。
綾香はバッグを胸の前で盾にして、目の前の男性の背中との間に両腕をかざして何とか僅かな隙間を作った。
それでも下半身はそうはいかず、後の男性と密着しているのが分かる。
綾香は固く目を閉じていたけれど、願いは届かなかった。
お尻に触れている部分が一部、だんだん固くなっていく……。
綾香を高評価する周囲の判断に逆行して、綾香の自己評価はまた下がった。
こうなってしまうと、事の成り行きがある程度の想像がついてしまう。
さらに数十分が経った頃に、綾香の想像が現実へと移行しはじめていく………。
申しわけ程度に勇気を出してやっと触れていた手が、ショーツラインをなぞっているまではまだましだった。
指で摘みながら根気よく、手繰り寄せ初めたのだ。
綾香は両手を動かせず、後を気にする素振りを見せれば或いは………と思ったけれど無駄だった。
忸怩たる気持ちでお尻まで持ち上がるのを待たねばならず、下唇を噛んでお尻を触られるのに耐えた。
やがてその手は閉じた内腿に指を捩じ込み、綾香のそこをウネウネと刺激しはじめる。
お願いだからやめて……
それ以上、刺激しないで………
我慢できなくなる……
覚醒させないで、私を………
お願い……お願い…………
けれど相手の手は引くことを知らず、ついに綾香のパンストを破った。
クロッチを指が前後に往復させ、ここだと見当をつけた場所でのの字を描きはじめる。
綾香は必死に平静さを取り繕って見せていたけれど、体はそうはいかない。
相手は綾香のそこが濡れはじめたことを、知ってしまったのだ。
十分に染みが広がりを見せた頃、相手はショーツをずらして直接そこを触りだす……。
もう、駄目だった………。
脚に力が入らず拳ひとつ分を開かされると指の出し入れがはじめられ、クリトリスをいたぶりはじめる。
無意識に頭を揺らす綾香を見て後の相手は、自分の横にいる人が背を向けていることから、大胆に腕を前に回してくる。
前側のもずらしてクリトリスを可愛がり、押し退ける力のない綾香の手が重ねられながら一緒に小さなのの字を描いて動く。
痴漢の手に重ねられた手が一緒にその奥に進み、痴漢の2本の指が抜き差しを開始する。
なだらかなカーブの肉壁を辿り、ザラついた辺りを丹念に行ったり来たり往復させていく。
綾香はついに体重を後の相手に預け、とろけるような甘さの中に身を浸さなければいけなくなった………。
表の綾香は眠りにつき、色情に染まったもう一人の綾香がむくりと起き上がる………。
その綾香が自らが感じていることを伝える為に、重ねていた手で相手の手首をから少し上までを何度も撫でて、応えて見せる。
まるでもう我慢ができないの、貴方のモノが欲しいと訴えるかのように………。
相手のペニスはその膨らみから、綾香は見当がついていた。
一旦手を引っ込めた男は苦労してスラックスから巨根を取り出し、膝を屈めて腰を落とす。
無理やり下に向けた巨根を綾香のお尻の下に捩じ込むと何度か標準を合わせ、ゆっくりと前に押し出していく。
柔らかい肉の面が凹みはじめて窪みが深くなると、食虫植物が口を開けて大蛇を飲み込みはじめた。
肉壁を押し分けて進入される苦痛に顔を歪め、何度も引いては進む紳士的な挿入のやり方に綾香は熱い息を漏らす。
思った通りすべてが中に収まっても、立ったままなのに奥まで届く大きさだった。
男はスカートの持ち上がった部分を最小限に留めて、出来るだけ綾香に下半身を密着させる。
こちらに背を向ける人の側の腕を綾香のウエストに回し、ゆっくりと数センチ単位のピストンをはじめる。
何度も繰り返し、何度も…………。
綾香の中はパンパンに広がり、じれったいほどにしか動かされない中にあっても充足感があった。
満たされる安心感とでもいうのか、太陽光を一点に集中させるように小さな快感が折り重ねられていく。
疼く子宮をその入口に繰り返し接触する亀頭が宥め、深い快感の残像を残していく。
ずりっ……ずりっ……っと動く陰茎がGスポットを擦り、嫌味のように快感を湧き上がらせる。
それが堪らなくて綾香は自ら胸の前のボタンを外し、男の手を取って中に招き入れた。
この日身につけていた2分の1カップブラは、男の指を容易く乳首に辿り着かせる。
乳房を掬うようにしてカップの外に出し、絹のような滑らかさと柔らかさを手の平で堪能するかのような愛撫。
その中にあって手の平を突き立てる硬く勃起した乳首を指の間に挟み、指の腹で優しく擦られる。
それだけで膣に力が入りベニスを締めているようで、ほんの少し子宮口への突き上げが強くなる。
こんな男女の戯れは子供には出来ない芸当だと、綾香はその旨味にうっとりする。
高くない水準の快感も続く時間がそれなりにかかれば、別の意味を持つ。
累積する快感は昇華して変貌を遂げ、小さな快感がより大きく感じるものになる。
ましてサイズが大きい、相手はそうではなくても女の綾香は堪らない……。
その時、2人の緊張を切り裂くように運行再開のアナウンスが流れた。
電車が動き出したら今の位置だと、降車する駅まで20分とかからない。
腰の動かせる幅に制限のある相手は、ペースを早めてきた。
中に長く居座られた影響でそのサイズに慣れた膣が、今までを取り戻すように快感を貪りはじめる。
電車の揺れを利用して突き上げられる衝撃をそれとなく誤魔化し、相手が胸から手を抜いてさらにスパートかける。
息の詰まりそうな喜びが押し寄せてきて、咀嚼が間に合わなくなってきた。
純度百パーセントの快感が綾香を酔わせ、喉で堰き止めた声が漏れ出そうになる。
ゆっくりと確実に増えていく快感に体がもう限界だと、綾香に警鐘を鳴らす。
いくっ……いちゃう……………………イっくぅっ………
男は強い締め付けに察して後から綾香を抱きしめ、自らも限界に達して中に射精した。
体を硬直させてビクビクさせる綾香を抱き止めて、収まるまでその手を離さずにいた。
その間にウネウネとする中の蠢きに初めて対峙し、射精直後の快感を伴ったむず痒い苦痛に男は耐えなければならなかった………。
電車が下車をする駅のホームへ滑り込む。
やっと綾香から抜いてくれた所で、ドアが開く。
人に押されて綾香は外に出た。
男が見ていると意識して、振り返らずに……。
男は風に煽られて黒髪が捲れた綾香の横顔を見て、かなりの美人だったことに気付く。
どこかで見た顔だと思ったが、どこかですれ違っていただけなら記憶には残っていないだろう。
それにしても締まり具合、中の感触も抜群だった。
思い出してまた、勃起してきてしまった………。
綾香は濡れた下着を着替えたかった。
どうせ会社は電車の遅延を把握しているのだ。
どこかのコンビニに寄って下着を履き替えようとお店に寄り、トイレを借りた。
さっきまで触れられていたクリトリスがまだ勃起して、包皮から飛び出していた。
鮮やかなピンク色をして………。
※元投稿はこちら >>