手の甲だろうか。
揺れに乗じて触れたり離れたり、綾香のお尻に触れてくる。
不快だったけれど、相手は気付いていないはずはない。
本当に偶然なら、そのうちに手を引っ込める。
だけど今度は手の平で触れてきたのだ。
綾香は腰を捩り、拒絶の意思表示をして見せた。
それでもまだ触れてくる相手に対し、振り向いて氷のように冷たい視線をぶつけた。
大抵の痴漢はこれで震え上がり、次の駅で逃げるように下車していく。
見つめる先にいたのはこれといって特徴のない、40代後半から50過ぎといった感じの気弱そうな男だった。
俯いてしまったので、これで平気なはず………。
でも、また男は触れてきたのだ。
流石に怒り心頭に達した綾香は掴む吊り革の手に力が加わり、再度振り向いて睨みつけた。
数秒間もの間ずっと綾香は睨み続け、ただでは済まさないと無言で怒りを表して見せる。
それなのに男は落ち着いた様子でスーツの内ポケットからスマホを出して見せた。
男は何事か文章を手短に作成し、画面を綾香に向けてそれを読ませる。
それは綾香を驚愕させる内容だった。
………アンタがあの少年に何をしていたのか、それを知っているぞ。
………証拠も取り揃えている、ここでは動画は見せられない、代わりにこれを見せよう
男はスマホを仕舞うと、青褪める綾香にポケットから何やら出して見せた。
それはあの日、コンビニで脱ぎ捨てたはずだった綾香のシームレスショーツ………。
男はまたスマホを出して、作成した文章を綾香に見せる。
…………言うことを聞けば、沈黙を約束する。
…………目的は金ではない、わかるよな?
迂闊だったと思う。
こういう人間が世の中にても、不思議はない。
軽率な自分を綾香は呪いながら、黙って前を向く。
どうすればいい?
一体どうすれば………。
然るべき所へ駆け込む?
それでは男と心中するようなもの、出来ない……。
泣きそうになりながら、綾香は俯いた。
お尻側のスカート部分が静かに持ち上がり、とてもシンプルな白のショーツがお尻の下まで下げられる。
こんな日に限ってパンストを履いてこなかった。
でもパンストを履いてきていたとしても、この男には意味のないことかもしれない。
綾香は心を無にした。
V字にした2本の指が割れ目を挟むように前後にと動き、柔らかい部分の肉を優しく撫でる。
それから割れ目を開き、溝の中を膣口からそっと指先が触れていく。
決して乱暴にされることなく尿道入り口、そして敏感な場所へと優しくノックするように触れていく。
クリトリスに届き、トントントン、トントントンと、寝た子を起こすように優しく叩く。
綾香の中の水面に一滴の水が落ちたように、小さな波紋が現れた。
包皮という肉布団を触れるかどうかという微妙な触り方で、スリスリスリスリと腫れ物に触れるかのように擦る。
寝ていた子が身じろぎして両腕を伸ばし、欠伸をはじめる。
段階を踏むように男は肉布団に触れた中指の先でクルクルと、小さな丸を描きはじめる。
肉布団が小さな蕾を擦り、じわじわと変化が起きていく。
綾香は吊り革を掴む手に力が込めて、努めて前を向き続ける。
男の指先にコリコリとした感触を自覚させるようになると、バイブレーションのように指先を震わせる巧妙さを出してきた。
内股になる綾香に喜びを感じた男は、濡れはじめた膣口とクリトリスの間を往復させて綾香を攻めていく。
ふっ……ふふっ……………ふっ……ふっふっ………ふっ……
薄く開いた綾香の唇から、前に座る人達に分からない程度の息が小刻みに漏れ出す。
不意に男の手が前に回されて、スカート部分がこんもりと不自然な形になる。
綾香は吊り革を掴む右肩に下げていたショルダーバッグを左手に持ち替え、前側の位置に落ち着かせた。
いやらしく陰毛を掻き回し、中指をクリトリスに這わせて………。
綾香の眉間に皺が形成され、膝がわなわなと震えるのを必死に堪えなければならなくなった。
滑る指先をわざと震わせ、くちゅくちゅと卑猥な音を立てる男……。
綾香は座りながら微睡む人達がいつ気付のかと、恐怖に駆られながら望まぬ快感に抗うことに疲れを感じはじめていた。
男の指先によってムニムニと形を歪める包皮が、張りのあるクリトリスを滑るように動かされる。
掴む吊り革を離さぬように、だけど折れはじめた膝が綾香の立ち姿勢を崩していく。
男の指先から逃れるようにお尻が後に下がり、男の股間を圧迫する。
そろそろマズイと思ったのか、男は攻める矛先を変更する。
手の平が性器を覆い隠すように奥へと差し込まれ、にゅっ…るっっっ………っと中へ挿入。
入口に締め上げられ、柔らかな肉壁に迎えられた指を手首を使って抜き差しさせる。
入口からほど近い、いわゆるGスポットが弱いらしい……。
指の動きに合わせ、綾香の腰が僅かなうねりを見せる。
それにしても、いい絡みつきじゃないか……。
やっぱり我慢できそうにない………。
男は周囲に視線を走らせ、危険がないと確認してからペニスを取り出しだ。
愛液に塗れた指を舐めて、ワンピースのスカート部分を持ち上げる。
白くボリュームのあるお尻が現れ、下にぐっと向けたペニスをあてがうと………。
綾香は男の不穏な動きに気付いた。
腰が後に引き寄せられたとき、悔しいけれど覚悟を決めた。
入口が強く圧迫され、押し広げながら……。
思わず綾香は口に手を当てて、声を堪えた。
大きい………。
それに、太い。
恐らく綾香の人生でもトップクラス、凄く大きいのだ。
奥歯を噛み締めてそれに耐え、中を擦られる感覚に戸惑った。
苦しくて、苦しくて、早く終わって欲しかった。
この込具合がいいのか悪いのか、激しく突かれることがないのが唯一の救いでしかない。
恐らく数センチの感覚でしかない、その巨根の動きが子宮口を圧迫する。
男も自覚しているらしく、綾香を苦しませないよう最低限にしか奥を突こうとはしない。
どれくらいが経ったのか、恐らく5分と経ってはいないだろう。
綾香は順応する自分の体が、妬ましかった。
綾香の意思に反して、体が喜びを感じだしたのだから………。
にっっゅっ…………にっっゅっ………にっっゅっ………
地味だった感覚がいつしか拡大して、短く厚みのある快感を覚えはじめてしまった。
吊り革を掴む手に汗が滲む。
電車の揺れに踏ん張る脚に力が入る度、巨根を咥える膣にも力が入る。
相も変わらず男は腰を使い続け、綾香は堪らなくなってきてしまった。
こんな所で、そんな………。
女が深く感じてくると、激しく突きはじめる男は意外と多い。
それは射精間近に激しく動くと、それに比例して快感を強く感じる男の勘違いでしかない。
人によるのかも知れないけれど、少なくても綾香は同じペースで動かれたほうが好きだった。
クリトリスをクンニされる時は、それが如実にその先のオーガズムに関係する。
綾香はショートストロークのスローセックスまがいなこの交わりは、青天の霹靂だった。
こんなに感じるとは思わなかったのだ。
無駄な動きがない分、確実に感じることが出来るなんて知らなかった。
自分の体がこのセックスに合っているのかも知れない。
勝手に感度が増していくことに戸惑い、押し寄せる快感を押し留めようとしても、体が言うことを聞いてくれない。
にゅっ……にゅっ……にゅっ……にゅっ……にゅっ……
膣壁のすべてが性感帯となって、逃れようのない快感という苦しみに成す術が見つからない……。
少年とは比べ物にならない巨根が、今となっては綾香を狂わせる凶器になっていた。
だめ、やめて………これ以上は…………
不意にコップの中の水が溢れるように、綾香の体が硬直した。
俯いた顔が電車の天井を見上げ、膝から力が抜けてしまった………。
限界を越えた末のオーガズムは、狂おしいまでに甘く堪らなく愛おしい……。
男に腰をさ支えられ、体重を預けることで綾香は何とか立っていた。
1分、2分、3分………。
綾香が回復するまで男は辛抱強く待ち、再び腰を使いはじめた。
嘘でしょ、まだするつもり!?
相変わらずの短い静かなピストンが再開され、休んでいた性感帯が機能を回復させる。
敏感に反応をはじめた体がすべての快感を享受して、体温の上がった綾香の脇の下に汗が滲む。
ものの数分しか経っていないのに、早くもその兆しを見せる綾香。
女性特有の甘い体臭に汗の匂いを混ぜて漂わせ、自分の着るワンピースの下で腰を掴む相手の手に綾香は自分の手を重ねる。
そして二度目のオーガズムに包まれる……。
その快感の中にいる綾香の子宮口に、男は精液を放った。
男は巨根を脈動させる度に精液を絞り出し、目を閉じて快感を味わった。
ピクピクさせる亀頭が子宮口をくすぐり、オーガズムの最中にいる綾香に新たな快感を添える。
地味な男は綾香の下車する駅の手前まで巨根を中に留め、美女は時が止まらなかと本気で思っていた。
綾香の唇は、僅かに震えていた……。
※元投稿はこちら >>