短編映画へと編集された作品で少し残念だったけれど、お祖父ちゃんおばあちゃんっ子だった綾香にとって、懐かしい顔ぶれを観られることが嬉しかった。
よく祖父の膝に乗せられて、古い映画を観たものだった。
横に座る彼は映画が始まって早々に、寝息を立てている。
あんなに胸を張っていたのに、これでは後輩くんと大差がないではないか……。
まあいいかと、多目に見ることにしてスクリーンへと綾香は目を向けた。
映画が始まる前、彼はこう言っていた。
担当者 今SNSなんかで噂が広まりますから、
遠方からもマニアが駆けつけてくるん
です、凄いでしょう……?
綾香もこれなら、分かるような気がする。
平日とあって、座席に座る観客も間バラにしかいない。
見たところ中年から高齢男性ばかりかと思ったけれど、何となく若い人も居るみたいだからマニアなのかも知れない。
1時間ほどで一作目が終わり、仕事中なのにいいのだろうかと背徳感を抱く。
薄暗い映画館の中に、明かりが差し込む。
後のドアが開いて、数人の観客が入ってきたようだ。
またドアが開いて、数人が入ってくる。
次の作品に合わせて来たとしか思えなくて、綾香は楽しみになった。
そして、次の上映が始まる……。
70年代後半から80年代前半と思しき作品らしいと、綾香は見当をつけた。
今でもテレビのドラマで見る女優がスクリーンに映し出され、まだ20代の若い頃の姿だった。
中年男性と若い女性の恋模様を描く、そんな感じに見える。
今の時代にはない昭和の荒削りな設定が、懐かしい。
喫茶店で当たり前にタバコを吹かし、走る車もその時代のもの。
髪型や服装も、母の時代の流行りがうかがえる。
ラブシーンが始まった。
やはり今の時代にはない、激しくて露骨な内容に胸がドキドキする。
無骨で寡黙なのが男の美学だった時代らしい……。
スクリーンの中で、女性が乱暴に押し倒された。
ワンピースの胸元を乱暴に開け、胸にむしゃぶりつく男……。
急に恥ずかしくなって綾香は隣を見たけれど、担当者の彼は寝ていて起きる気配がない。
彼を置いて出ようかとも思ったけれど、さすがにそれは出来そうにない……。
仕方なくスクリーンに目を戻す綾香が見たものは勃起した乳首を露わにした乳房を震わせ、股の間に顔を埋める男の姿だった。
本当に普通の映画なのだろうか………。
疑問に思ったけれど、彼が如何わしい映画館に連れて来るはずがない。
けれど喘ぎ声を上げる女優と、ぴちゃぴちゃっ……と、いやらしい音まで聞かせる作品って何なのか……。
嘘でしょ………?
信じられないものを見た綾香は、思わず口を手で覆っていた。
男のペニスがそのまま映し出されていることから、古い無修正ピンク映画ではないのか………。
女性がそのペニスを口に入れ、頭を振り出した。
他人の営みを見ても良い気持ちはしないけれど、あまりにも卑猥で綾香は見入ってしまった。
やがて男女の体が重なり、男の腰が躍動をはじめる。
女性の喘ぎがいやらしくて、本当に感じているのではないかと思わせる。
でも綾香のその疑問は、すぐに解消される。
結合部がアップに映し出され、本当に挿入されていたのだ。
愛液にコーティングされた陰茎が光沢を帯びて、卑猥な水音を立てながら出入りを繰り返す……。
綾香は喉の渇きを覚えた。
あの移動検診車の中での一件以来、ご無沙汰だった体が疼き出したのだ。
今は母親役でドラマに出演する女優も、古き良き時代のピンク映画の中で若い裸体を晒し、作品とはいえ本当にセックスをしていたと知って綾香はショックだった。
男優も今はドラマで祖父役や、昔は精悍な男性だったという設定で初老の役を演じて普通に目にすることがある。
それが昔はピンク映画で逞しい体を晒し、作品の中で実際にセックスをしている……。
それがまかり通る世の中だった、それだけのこと
かも知れないけれど………。
綾香は無意識にアコーディオンスカートを手繰り寄せ、股の間に手を忍ばせていた。
スクリーンの中では2人が体位を変えた。
対面騎乗位となって、若かりし頃の女優が激しく腰を躍動させている……。
ショーツの一部を隆起させた部分を触れる綾香の指が、くるくると小さなのの字を描く。
鏡のように静かな水面に次々と波紋が出来るように、幾重にも快感が押し寄せてくる……。
綾香は目を疑った。
正常位になった2人が激しく燃え盛るような情事を演じ、というよりも本気のセックスを繰り広げていた。
綾香の目にも女優の彼女が本気で感じ、本当に喘いでいるのが分かる。
やがて限界を迎えた男優の彼が、中に射精したのだ。
男優が女優から体を離すと彼女のそこがアップに映し出され、白い粘液が流れ出る様がそのまま映し出されてまたショックを受けた。
今ほど技術が発展していないこの時代、あの精液が偽物とは綾香には思えなかった。
そもそもフィルム撮影なのだから、どんなに上手に編集したとしてもわずかな違和感が残るはず。
少なくても正常位を始めてからカット割りはなく、ペニスを抜いてからそこをアップに映し出されるまで映像は続いていたのだ………。
それからも事あるごとに2人は情事を重ね、綾香を欲情させていった。
不意に特有の臭いが、綾香の鼻腔を貫くのを感じた。
綾香の座る座席の前の列、担当者と綾香のすぐ近くに座る男性の肩が忙しなく動くのに気付く……。
それは間違いなく、精液の臭いだった。
暗闇に慣れた綾香の目はこの映画館の中に、女は自分一人しかいないことに気付く。
そしていつの間にか目覚めていた隣の彼と、目が合って綾香は体が固まった。
いつから見られていたのか今更もう遅いけれど、スカートの裾を綾香はそっと下げずにはいられなかった。
恥ずかしくてその場から立つことも出来ず、言い訳も思いつかない……。
不意に座席から腰を浮かせた彼が、綾香の前に膝をついた。
両手を膝に添えた彼は、ゆったりと左右に開くのを綾香には今さら止める術がない。
自慰をする自分を見られていたのだから……。
それでもやっぱり女としての羞恥心は健在ならば、阻止をするというもの。
思いのほか力強く膝を閉じる綾香に手こずる彼だったけれど、女をその気にさせる術を彼は知っていたようだ。
膝にキスをされて、ストッキングとの境界を越えて、素肌になったところにもキスをするのだ。
ガーターベルトを見ても驚かないところを見るとやっばり彼は昨日、スカートの中を見ていたのだと確信せざるを得ない。
綾香はこういう繊細で細かな愛撫に弱い……。
力の抜けた膝を開かれ、ゆっくりとTバックを引き下げられていくのに抵抗を失念させられてしまった。
それだけ欲情したこともあるけれど、彼の愛撫に期待させられたから………。
股の間に顔を埋める彼を恥ずかしくて見ていられなかった綾香は、スクリーンに目を戻す。
淫唇を開かれる感覚に、顔から火が吹きそうになる……。
スクリーンでは海辺の海女小屋が映し出された。若い海女が男優に押し倒されて激しく抵抗しながら、胸が開けるストーリーが展開されていた。
不意に堪らない快感が沸き起こる。
彼の舌が忙しなく動き、敏感なところを舐め回されている。
同じくスクリーンの中でも若い海女が股間に顔を埋められ、綾香同様に声を堪えていた。
スクリーンの中の彼女と綾香自身が重なり、快感に翻弄される彼女は今の綾香そのものだった。
綾香の体がビクンッ…と、跳ねた………。
けたたましい女の喘ぎ声をが聞こえてきて、目が覚めた。
今日はビング映画の上映日だったことを失念していたことに気付いて、血の気が引いた。
間違いなく怒っているであろう彼女になんて言えばいいのか、考えても思いつかない。
正直に言えば良かった。
ここは元々は成人映画館で、今は街興しのために昔懐かしい映画館としてリニューアルしたのだと……。
でも街の有力者が成人映画を廃止するとは何事だとゴネられて、結局は上映日を決めて成人映画を観せることに落ち着いていた。
そんな後ろ暗い馬鹿げた理由を、なんて説明しろと言うのだ。
だから彼女には言えなかったし、でも古き映画を上映しているのも事実だし………。
でも今日が成人映画の上映日だったなんて、すっかり忘れていた。
でもそのお陰で昨日見た、魅惑のスカートの中を今こうして味わっている……。
彼女がスカートの中に手を入れて、うっとりした顔をしているのを見て最初はびっくりした。
でも彼女は今、確かに興奮している……。
それも自分の隣でオナニーをしている……。
もう、言葉なんて必要はない………。
そう思ったのだ。
抵抗されてこれは………そう思ったけれど、諦めなくて良かった。
試しに女のツボを刺激したら、難なく脚を開くじゃないか……。
昨日は白のTバックだったけれど今日は、暗くてよく見えないけれど若干色のトーンが暗いグレーっぼいTバック………。
それを脱がしたらこんなに美人なに真っ黒な毛をびっしり生やしていて意外だったけれど、これはこれで卑猥でしかない……。
鼻を近づけると蒸れたような酸っぱい臭いが鼻を突き、なんと言ってもデカいクリトリスが堪らなくいやらしいではないか……。
最初っからズル剥けなんて………。
そう興奮しながらしたを走らせる。
勃起して舌先を跳ね返すくらい硬い……。
彼女の興奮度が現れているようで、剛毛に鼻をくすぐられるこそばゆさなど無視して執拗に舐め続ける。
敏感なところだとは分かるけれど、彼女の反応は敏感体質だと如実に語ってきた。
口の周りをテカテカに光らせて、彼は舐め続けていく。
クリトリスを吸われて綾香の太腿の筋肉が硬直を起こし、内腿がぷるぷると震える。
彼は舌が疲れるのも忘れ、ひたすらその蕾に触れる舌先を走らせていく………。
映画館に響き渡る喘ぎ声がまるで自分の声ではないかと錯覚するほど、綾香は追い詰められていた。
両手で口を塞ぎ、必死に出そうな声を堪える……。
高まる快感が、触覚以外の感覚を麻痺させる……。
受け止めきれない快感に、手脚が震える……。
体が熱い、息が吸えない、頭がおかしくなる……。
力の入った両手を握りしめ、ぶるぶると震わせる綾香の体が座席の上でバウンドした………。
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