今日に限ってどうしてパンツにしてしまったのか、綾香は後悔していた。
落としまいとして掴んだままのパンツの下、そこには中途半端に下げられた黒いショーツが留まっている。
ぬっちょっ……ぬっちょっ……ぬっちょっ………
ほとんどお尻に密着させたような状態で、動かされていた。
子宮口を押し上げるようにして当てられる感覚が羞恥心を煽り、落ち着かない気持ちにさせる。
誰も気付いていないわよね………。
いつも痴漢にあうと、不安になる。
目だけを動かして辺りを覗って見たけれど、分からない。
確信は持てないけれど、まだ気付かれてはいないみたいだと一応の安堵感は得た。
でも、でも………。
心臓の鼓動は相変わらず早いまま、収まらない。
綾香は自分のお尻の肉が押し潰されてたわむ感覚が堪らなく恥ずかしくて、否が応でもセックスをしていると意識させられる……。
いつもそうだけど心は望んでいないのに、無理に感じさせられるのは屈辱的でしかない。
それがどうしてだか、いつの間にか夢中にさせられるのだ。
恥ずかしさで体が暑くなってきた。
脇の下が汗ばんで、無性にシャワーを浴びたいと場違いなことを思う。
現実逃避をしたいくらい、綾香は危機感を抱きはじめた理由は……。
感じはめていたから………。
電車が減速をはじめ、ガクンとスピードが落ちる。
ホームに滑り込んで扉が開くと、人の入れ替えが始まった。
男が自分を誇示するように、中でベニスをピクンっとさせる。
今はやめて………。
背中を冷や汗の一筋が、つ〜っと流れ落ちる。
やがて扉が閉じて、電車が走り出す。
途端に男が腰を動かし出す……。
ちょっと待って……そんなに動かさないで………。
先程の停車は乗り込む人よりも降車した人のほうが多かったのか、男の腰の自由度が増している。
即ちそれは、時間の猶予がないことを意味する。
ぬっちゃっぬっちゃっぬっちゃっぬっちゃっ……
ぬっちゃっぬっちゃっぬっちゃっぬっちゃっ……
綾香 ふぅっ…ふぅっ…ふぅっ……はぁっ…はぁっ…
目元が怪しくなった綾香の、口呼吸が早くなる。
甘〜い快感が頭を鈍らせ、理性も薄らいでいく。
綾香の中の女が今、目覚めようとしていた……。
吸い付くような感触、締め付けの強さ、ゾクゾクするようなザラつき……俗にいう数の子天井………。
今までの経験上、どれか一つを持つ女は掃いて捨てるほどいた。
だけど全てを兼ね揃えた女は、初めてだった。
それもこんなにいい女だなんて……。
男は射精を堪えるあまり額に汗を滲ませ、歯を食いしばり必死に耐えていた。
ブライドにかけても、簡単に射精をするわけにはいかないのだ。
男 んっ……うっ……んっ……くっ……うっ………
愚直なまでに、腰を前に突き出していく……。
一粒の透明な雫が唇の横から、つぅ〜っと伸びて落ちていく。
虚ろな目をした綾香が口を半開きにして、切なそうな表情を作る。
ぬっちょっぬっちょっぬっちょぬっちょっ………
叫び出したい気持ちを堪え、自ら両胸を掴んで出し入れされる快感を噛み締める。
もう、何も考えられない。
考えたくない………。
思わず右手を後ろに回し、相手のズボンの腰の辺り………ベルト通しを掴む。
引き寄せて、綾香も相手にお尻を押し付ける。
もっと、もっと、もっと………。
いきそうなの、ねぇ……堪んない………ねぇ……
俯かせた顔を持ち上げて顎を上げ、首を横にしならせながらまた俯かせる。
ぬっちゃっぬっちゃっぬっちゃっぬっちゃっ……
ぬっちゃっぬっちゃっぬっちゃっぬっちゃっ………
細かい気泡が混ざって泡立った愛液が、内腿を伝って付着する。
ペニスのカリ首が膣壁を擦り、腰を後に引くときの陰茎が、入口の粘膜を外側に盛り上がらせる。
綾香が嫌々ををするように首を振り、顎を上げた。
強かにペニスを締め上げた、その時……。
男の腰が止まり、熱いものが放出された。
時が止まったように何も聞こえなくなり、男に支えられなければ綾香はその場に座り込んでいただろう……。
どこまでも深い快感に酔いしれ、回復までに数分の時間が過ぎ去っていく………。
やっと我に帰った綾香……。
足元に落としてしまったパンツを引き上げたくて、気怠げに腕を下げようとして気付いた。
まだ男と繋がったままなことに……。
男は綾香が拾い上げるまで待ってから、再び腰の躍動を再開して綾香を驚かせた。
射精してしまったことが、屈辱だったのだ。
この俺が負けた……?
いや、まだだ……これからではないか………。
男の瞳に炎が灯る。
再び綾香の体が静かに揺れ始めていた………。
敏感になった体がすぐに反応し、驚愕に見開いていた目元がとろけそうに下がる。
開いた口が、声なき喘ぎを上げる。
あっあっあっあ〜んん~っ……あっあっあっ………
首を曲げて開いた唇を、舌がいやらしく横に滑らせる。
目を閉じて恍惚とする綾香が、口からまた一雫の光を溢れさせた。
やがてそれは唇という堤防を乗り越えて、一筋の糸を引いて落ちていく……。
綾香の心の中のダムも、今や決壊寸前だった。
ぬっちゃっぬっちゃっぬっちゃっぬっちゃっ……
体が折れそうになる綾香を、後から男が抱き締める。
その手がブラウスの中に差し込まれ、手の温もりを綾香に伝えてきた。
そのまま、綾香は………。
綾香は携帯で会社に遅れる旨を伝えると男に向き直り、首に両手を回して唇を重ねた。
電車から男の手首を掴んで降ろし、ビルとビルの隙間に連れ込んだのだ。
口を離すとその場に膝をつき、チャックを下げてベニスを口に含む。
2度も綾香の中に放出していた男のペニスが瞬く間に硬度を取り戻し、綾香は立ち上がった。
無言でパンツを降ろし、片脚を男に持たせる。
男がショーツを横にずらす……。
繋がった綾香の体が揺れる。
ぬちゃっ!……ぬちゃっ!……ぬちゃっ!……
背中を反らせた綾香が、髪の毛を揺らす。
もう、何も考える余地は綾香にはなかった………。
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