しゃがみ込んでは膝を伸ばし、片腕を上に伸ばして体を捻る。
プールサイドで入念な準備運動を終えて、綾香は一度プールの中に体を浸すと泳ぎはじめた。
プール通いを初めて3回目の今日はやっと筋肉痛から開放され、クロールで水をかく腕が軽い。
綾香がプールに通うようになった理由は、親戚が経営していたスポーツ用品店を閉めることになったことにある。
在庫品の半分はセールで売り払い、残りの在庫品の処分に困っていたのだ。
その中に競泳用水着が数着あって、伯父は姪っ子の綾香にどうかと言うのだ。
当時は人気があって入荷してもすぐに売れていたらしいけれど、次々と新商品が発売されて売れ残ってしまったらしい。
20年以上前の古いタイプといっても、新品である。
色違いで数着もらい受けたといっても競泳用水着を着て、さすがにレジャー施設では着れない。
せっかくだからとプール通いをはじめたのだ。
初回は濃いグレーとでもいうのか、正式にはガンメタリックと言うらしいその色のモデルは当時、オリンピックに出場した選手が着ていたことでよく売れたものだと伯父が言っていた。
綾香は早速それを着て泳いでみた。
競泳用水着を着て最初はこんなにきついのかとびっくりしたけれど、泳いでいると慣れて気にならなくなる。
それよりも綾香は男性の視線が気になった。
乳首の突起が想像以上に目立つのだ。
スレンダーで着痩せするタイプの綾香だけれど、そのプロポーションの素晴らしさは特に他人の目には、パンツスーツを着たときによく分かる。
競泳用水着を身に着ければ、尚更である。
スレンダーでありながら痩せすぎと言うこともなく、程良い肉付きをしたお尻はキュッと上がり、贅肉のない太腿は脚を長く見せるだけではなく魅力的ですらある。
そして細いクビレを形成するお腹周りから視線が上がって、潰されてはいてもDカップはありそうな胸の膨らみ。その先端の突起にどうしても男性の目が集中するのだ……。
パッドがないから仕方がないけれど、綾香は乳首がやや大きいのがコンプレックスだから男性の目に敏感になる。
プールには他にも女性はいて、その中の数人はやはり乳首の突起が目立っていたから自分だけではないと、気にしなければいいだけなのだけど……。
2回目は黒色、3回目の今日は青色を用意してきた。
黒色も乳首の突起は目立ったけれど、そういうものだと思うことにした。
実はこの青色の水着は透け具合を確かめたくて、一度試着してこれくらいならと納得して持ってきたのだ。
ただ一つ、確認方法を間違っていた事を綾香は気付けなかった。
筋肉痛がなくなって気持ち良く泳げたことは良かったけれど、プールから上がる際に今更ながら気付いてしまったのだ。
濃い色をした乳首と乳輪が青い生地にこれほどまでに透けて浮かび上がるとは、まったくの予想外だったのだ。
水の中から体を半分出してしまったので、思い切ってプールサイドに上がった。
早く更衣室に逃げ込みたかったけれど、数人いる男性たちの前を通っていかなければならない。
気にしない素振りをしていても、さっきから彼等に目で追われていた事を綾香は自覚している。
私はオバサンで、若い貴方たちの対象外……。
綾香は自分にそう言い聞かせ、彼等の前を通過していった。
なのに、どうして………。
更衣室に辿り着いて、気付かされた。
下の毛がしっかりと目立っていたのだから。
綾香は顔から火を吹く勢いで赤面し、いい大人の女がひとり自分の甘さに己を呪いたくなった。
これからは下の毛を処理しなければ……いや、しばらくはここに来るのをよそう。
羞恥心に体を焼かれながらシャワーを浴びた綾香は髪の毛を乾かし、仕事帰りなこともあって黒いシャツブラウスに腕を通す。
グレースカートスーツに身を包むと通勤用に履いてきたブーツを片脚づつ履いて、施設を後にして駅に向かった。
最近手に入れたトレンチ風コートが体に馴染んで、早くもお気に入りになっていた。
それもそのはずで、知り合いのお店で作ってもらったオーダーメイドなのだ。
色の指定から体の採寸、ワンポイントで肩甲骨の辺りに湿気を逃がすためのファスナーをオーナーの勧めで取り付けてもらったことにある。
意外と汗で蒸れることがあっても、コートを脱げば寒くて本末転倒である。
ファスナーを下げれば湿気は逃がせる。デザインとして入れたタックでそのその存在を隠せるというのも、綾香は気にいっている。
改札を通過し、ホームに綾香は降り立った。
帰宅ラッシュをずれた時間になっても、それなりの人が列をなして立ち並ぶ最後尾に綾香は着いた。
ターミナル駅とあって半分近くの人が電車内から吐き出され、綾香は反対側のドアの前に立つ。
発射を告げるメロディが流れ、ドアが閉まるとゆっくりと電車が動き出した。
綾香がおかしいと気付いたのは、数分が過ぎた頃だった。
確かに混んで入るけれど満員というほどでもなかったはずなのに、綾香の周りは満員並にひしめき合っていたのだ。
どうしてだろうと思いはじめる間もなく、コート越しにお尻を触る手に気付かされた。
その手はコートのスリットを潜って、はっきりと痴漢と分かる触り方で触れてきた。
綾香はプールでのこともあって、珍しく抗ってその手を邪険に払ってみせる。
綾香はドアの窓に反射する相手の顔を見てやった。
20代後半から30代前半くらいだろうか、どこにでもいそうな感じの男性だった。
やや俯く感じのその男性の顔、どこかで見たような気するけれど気のせいだろうか……。
緊張しているらしく表情を強張らせる顔を見て、だったら痴漢なんてしなければいいのに……。
そう思ったところで、不意に思い出した。
思い出したくもない、ついさっきまでいたプールにいたではないか……。
あの数人いた男性の中の1人、間違いなかった。
綾香の体の一部を透けさせた姿を見て、つけて来たに違いない。
やっぱりあのプールには、もう行けない……。
内心で溜息をつく綾香は、しばらくは開かないこちら側のドアに着たことを後悔した。
このままで済むとは思えなかったから……。
そしてその懸念は、現実のものとなる。
こういう男というものは、どうして鼻が効くのだろうか。
普通はない背中のデザインタックが気になっていたのか、隠れたファスナーの存在に気付かれてしまったのだ。
ジリジリと下げられるファスナーの感覚、両側が下げられてしまうと大胆に左右同時に手を入れてきた。
それはもう防ぎようはなく、脇を締めても腕と体の間を捩じ込むように男の腕が入ってくる。
その手はスーツのボタンを外し、ブラウスの上から綾香の胸をもみはじめたのだ。
そして、気付かれた。
綾香は着替える際にもう帰宅するだけだからと、ブラジャーを外してしまったのだ。
痛恨の極みだけれど、悔やんでも遅い。
男はその乳房の柔らかさに嬉々としてブラウスのボタンを外しだし、その下に着ていたインナー越しに乳首を指で弄りだした。
コトンッ、コトンコトンッ………
金属の車輪がレールを走る音がして、車内に立ついる誰もが同時に体を揺らす。
そんな中、コートの下で胸が揉まれていく。
電車の鼓動が足から腰へと伝わりる。抵抗もままならない綾香の乳房が指の形に歪み、スリスリと動かす指先が乳首を硬く勃起させる。
綾香はハッ……っとした。
インナーのヒートテックを上に、手繰り寄せはじめたからだ。
そうなってしまうと早くて、間もなく汗ばんだ手にDカップの吸い付きそうな肌に触れていた。
早く時間が過ぎてしまわないかと、綾香は静かに目を閉じるしかなかった…。
あのブルーの競泳用水着に抑えつけられた胸に浮び上がる、あの乳首の色。
黒っぽくて、大きい乳首であることが丸分かりだった。
乳輪も同様で大き過ぎず丁度いい大きさで、何よりも下が綺麗な顔に似合わず剛毛だったのだ。
こんなガードの緩い女はそうはいない。
だから後をつけて予想通り今はこうして胸を触り、あの乳首を触る感動を味わえている。
なんて弄り甲斐のある乳首なんだ……。
1センチ近くはありそうな乳首が硬くなって、体をピクピクさせるくらい敏感体質な女だ。
こんな美人なのに……そうだ、あの剛毛も味合わなくてはならない。
男は名残惜しげに右手をゆっくりと、ブラウスから抜いた。
その手を綾香の前側に回し、膝をクロスさせながら防御するそこを突破して手を差し込む。
なんてこった、この女はとことんガードが緩い。
面倒くさがって着替えるときに、ストッキングを履かなかったらしい。
いきなり素肌に手が触れて、ショーツの前側に指が触れた瞬間にゴワつく剛毛の感触が伝わってきた。
興奮を抑えられす指先を割れ目まで下げて、動かす。
ショーツ越しにも秘部の柔らかさが露骨に分かり、クリトリスの辺りを弄っていたら良い反応を見せてくるから堪らない。
腰が後に逃げて、尻を股間に押し付けてくる。
我慢出来なくて、ショーツの中に手を差し込む。
短く刈込んだ剛毛が指の間に絡みつき、その下を目指した指がクリトリスを捉えた。
わかってはいたけれど、勃起していた……。
あまりに思い切りのいい男の行動に、綾香はついて行けなかった。
そして男の性技、それが巧みなのにも気持ちがついて行かない。
左右の手の指がそれぞれ独立して動き、認めたくはないけれど………感じる。
その指使いにどんどん魅せられていく。
左胸を優しく包む手は傍目には分からないくらい動かさず、そのくせしっかり揉みながら常に乳首を弄ってくる。
右手は愛液を絡ませた指先がクリトリスを弄り回し、膣の中にも挿入させていた。
コトン……コトンコトンッ………
揺れる電車の中で、綾香は立っているだけでやっとの状態に陥る………。
どうしようもなく感じて、思考がだんだん麻痺していく…………。
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