女性の下着と一口に言っても、用途によって身に着けるものはいかなる。
例えばブラジャーならば薄いトップスを着る場合
、形やレースなどが響かないように、表面がツルリとしたタイプを選ぶ。ショーツも然りだ。
女性の活躍が目覚ましい現代は、見た目のデザインばかりではなく、機能面も充実感していなければ身に着ける女性の支持は得られないのだ。
………今度の新作の進捗具合はどう?
こんなものが欲しかった、そういう女性の声に応えられる商品が欲しいの……何かいい案はないかしら?
月に一度の会議で、雅美は部下たちに意見を求めた。
この業界も各社がアイデアと知恵を絞り、様々な商品が出てきている。
問題は本当に女性が欲しい物か、素材と機能面、デザインのバランスがとれなければ商品化という具現化には進めない。
毎回、生みの苦しみには頭を悩ませる。
以外にも男性の意見がヒット商品に結びつく、そんなことは珍しくない。
特にデザイン面でいうと女性の下着とはいいながら、異性の感性は捨てたものではないのだ。
雅美の部署では男性の部下の意見も、積極的に聞いていた。
彼らも女性下着メーカーに就職した以上、戦力になってもらう必要があるのだ。
ぼんやりと昨日の事を考えながら、今日は何を着ていこうかと頭を切り替える。
雅美は普段、パンツルックが多い。
だから特にスタイルには気をつけていた。
身体のラインがそのまま服装に出るパンツスーツは、下着を選ばなければならない。
下着メーカーに勤める身としては、だらしのない格好は部下に示しがつかないのだ。
鏡の前でスカートを履く自分を見て、部下は驚くだろうかと身構える自分がいた。
ふくらはぎまでの丈のあるタイトスカート。
フロントの中央に膝上10センチ近くのスリットが入った、大人のデザイン・スカートだ。
ショーツはシームレスの下着でも十分だったが、雅美はある予感がしてTバックを身に着けた。
痴漢は少なくても3人いると、雅美は確信している。
どの痴漢も丁寧に触ってくるが、攻め方で今日はこの人、今日は違う人……そんなふうに分かるようになっていた。
たぶん今日の曜日は、雅美が一番相性が良い痴漢だと分かっていた。
これからあの指に………そう思うと身体の芯が熱くなりそうになる。
スカートとはいえ、ロングタイトスカートだ。
雅美もただでは触らせる気はない。
駅の改札を抜け、ホームㇸ降りる。
たぶん雅美の視界には痴漢が映っているのだろう。
その顔を知らない雅美には、見当がつかない。
こちらの姿を見て、どう思っているのだろう。
ホームに電車が滑り込んできた。
いつものように中ほどまで入って、吊り革に掴まる。
電車が動き出し、待った。
きた………いくらか困惑したような触り方だったが、あの手だった。
股下似手が入れられないストレスから暫く手が彷徨っていたが、やっぱり頭が良い。
雅美のスカートの前後をずらし始めた。
駅のホームでやはり見られていたことが、これではっきりした。
フロントに深いスリットが入っている特徴を知らなければ、こうはならない。
そろそろと入れてきた手が触り心地を確かめるように、内腿を撫でる。
そして、いつものように敏感な所を触ってきた。
内腿を閉じて手を挟む。
それでもインコの頭を撫でるように、小さな円を描いてその気にさせる。
パンツの生地ガないだけで、危険なほど感じる。
吊り革を掴む手に力が入る。
パンストの生地がTバックの上をツルツルと滑りながら、クリトリスの小さな膨らみを擦る。
………あぁ……あぁ…あっ…あっ!……あぁっ!………
思いかけず達しそうになって、力いっぱい内腿を締めて、これ以上の刺激はタブーだと知らせる。
しつこくされるようだとどうしようかと思ったが、素直に従ってくれた。
駅について電車を゙降りる。
いつも素に戻る瞬間が嫌になる。
いい年をして、何をしているのだろうと……。
トイレに入って下着を降ろす。
便座に腰を降ろしきる前に、オリモノがどろ〜んと溢れ落ちる。
そういえば排卵期だったかもしれない。
個室を出て鏡の前に立ち、自分を見る。
どこかのキャリアウーマンがこちらを見返している、でも間違いなく朝から人知れず淫らな味に酔っていた女の正体だった。
その日は1時間ほどの残業をして、駅に着いたのは7時前になっていた。
混み合う車両の中までは行けず、雅美はドアの前に落ち着いた。
ドアが締まる寸前になって駆け込んできた迷惑者が、雅美の前に陣取ってきた。
やや強引に背中を向けて雅美の前に割り込むように。
高校生、いや私服だから予備校生だろうか。
今時のアイドルのような、美男子だった。
ーーーすいません、お姉さん
自分よりも遥かに若い男の子にお姉さん呼ばわりされるのは妙な感じがしたが、本当に申し訳無さそうに言うものだから好意的に受け取ることにした。
ドアの窓越しに一瞬だけ目が合い、雅美が視線を逸らすより先に俯いてしまった。
耳を赤くして、少し可愛いと思ってしまった。
次の駅に着くと彼は押し出されるようにホームに出され、乗り込む他の人の勢いにたじろいで乗り込むタイミングを失っていた。
諦めた顔をしていたので、雅美は少しヤキモキしながら自分の前を指さして合図を送った。
気軽に乗り込めるスペースではないからか迷っていたが、彼は乗り込んできた。
でも何を勘違いしたのか、対面になる形で……。
パーソナルスペースもなにもないが、これにはさすがに雅美も不快感を覚えムッとした。
かろうじてドアの横にある手摺りを掴めたが、こんなに近くで異性の顔を感じるのは久しぶりだったので戸惑ってしまう。
そんな雅美の心を嘲笑うかのように、下腹部に異変を感じた。
彼の手がスリットからスカートの中に侵入していたのだ。
そんな……雅美は片手間で防御を試みたが、両手で返されては刃が立たない。
手摺りからも手を離して応戦したが、彼に密着するだけでどうにもならない、近すぎるのだ。
その手は手摺りに戻して片手で防御を繰り返していたら、その手を抑えられ本当にどうにもならなくなった。
あまりにも手慣れていた。
ピリッ………ピリリッ!
嫌な音がした。
その音の原因はすぐに雅美には分かった。
ショーツを触る指がリアル過ぎたのだ。
パンストを破り、自由度を増した指が執拗に踊る。
雅美はその触り方に覚えがあった。
ショックを感じながら、声を出さないようにするのに神経を使った。
今朝の痴漢は、一番相性が良いと感じていた痴漢は彼だったなんて……。
彼は指を使いながら雅美の表情から、反応を窺った。
髪の毛を後ろで纏めていた雅美の顔は、隠しようがない。
どんなに平静さを装っても、内腿の筋肉の弛緩や僅かな表情の変化は連動している。
誤魔化しようがなかった。
その指がクロッチをずらし、直接クリトリスに触れる。
Tバックは容易に彼の言う事を聞き、陰部の素顔を晒す。
半分ほど被った包皮を使ってクリトリスを巧みに愛撫する、この表現がびったりだった。
感じすぎて膝の力が抜けそうになる。
膣に指を入れてきた。
腰を落とさないと奥までは挿入出来ならしくて、途中までしかこない。
それでもお腹側の感じる所には届く指は、そこを執拗に刺激をしてくる。
どうしようもなく、欲しかった。
子宮がキュンキュンする。
彼は一度抜いて見たくもない濡れて光るに指を、わざわざ雅美に見せてから舐めて見せた。
その指を再び陰部に戻すとクリトリスを攻め、達しそうになると膣に挿入し、腰が落ちそうになるとまたクリトリスを攻めた。
彼に抑えられていた雅美の片手は、彼の股間の形を確かめるように擦らずにはいられなかった。
どれくらい我を忘れていたのか、ドアが開くと彼はあっさりと降りていった。
電車の中でオーガズムに達しても困る。
だけど中途はんぱにお預けをされて、雅美は堪らない気持ちにさせられた。
動き出した電車の窓から一瞬、彼の姿が見えた。
雅美は彼の顔を胸に焼き付けていた………。
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