電車が動き始めると、私の後ろに男が立った。
そんなに混んでる訳じゃない。
なのに男は電車が動き始めてから、私の後ろに移動した。
ガラスには黒いスーツの男が立っていた。
顔は、ガラスに貼られた広告のシールが邪魔して見えなかった。
ツン
お尻に何かが触れた気がした。
一瞬で怖くなった。
体が硬くなり動けなかった。
ツン・・・・・・ツン・・・・・・・・ツン・・・ツン・・・・・・・・・
電車が揺れるたびに、お尻に何かが当たっていた。
おそのうち、電車が揺れていない時も当たるようになった。
ツン・・・ツン・・・・・・・・・ツン・・・・・・ツン・・ツン・・・・・・・・
電車がゆっくりと速度を落とし、次の駅に到着する。
誰も降りず、数人が乗り込んでくる。
まだまだ混んでるとは言えない。
誰もわざわざ扉の前になどは立たなかった。
空気音がして扉が閉まった。
電車がゆっくりと動き始める。
ガタンと大きく電車が揺れた。
お尻に何かが触れてきた。
そして、今度は触れたまま離れなかった。
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