彼女の嫌な予感は的中した。
この運転士もまた、千紗を獲物として見ていたのだった。
怯えた目をした千紗のもとに運転士がたどり着く。通路を塞がれもう逃げ場は無かった。立ったままの運転士が千紗を見おろし、真顔で言った。
『お客様、乗り越しはご遠慮ください』
「すいません、、許してください、、」
『乗り越しされたお客様には、清算して頂かなければなりません』
「は、払います、いくらですか?」
『いいえ、お客様のその体で払って頂きます』
彼の表情はまったく変わらない。
冗談や脅しではなく彼は本気だった。
身の危険を感じた千紗は、通路を塞ぐように立っている運転士を無理矢理押し退け車外に逃げ出そうとした。
狭い通路を駆け抜け乗降ドアまでたどり着いたが、ドアは閉ざされたまま外に出ることができない。運転席にある開閉スイッチに手を伸ばそうとしたところで追ってきた運転士に腕を掴まれた。
男の力に敵うわけもなく、千紗はあっけなく乗客席へ引き戻される。
『お客様、清算がまだですよ。無賃乗車はいけませんね』
「お願いします、許してください、許して、、」
『許すも何も、ただ清算して頂ければいいだけのことです』
運転士はそう言うと千紗の腕を引き、床下に降りるための狭く急な階段へと強引に引きずり込む。
階段の先にはドアがあった。彼がそのドアを開くとそこには窓のない畳1枚分ほどの狭い空間が広がっていた。ちょうどカプセルホテルのような室内に薄いベッドが敷いてある。
彼は彼女をそこへ押し込みドアを閉めた。
『驚きましたか? 仮眠室ですよ、初めて見るでしょう? ここなら誰にも気付かれませんからね。ちょっと騒いだぐらいじゃ誰も助けには来ませんよ』
怯える彼女は彼から離れ仮眠室の隅にうずくまる。運転士はむしろその様子を愉しむかのようにニヤニヤと薄ら笑いを浮かべながら淡々と制服を脱ぎ始めた。
浅黒い裸を見せた彼が低い天井に頭を屈めて千紗のもとに迫る。既に彼の下半身は赤黒く怒張しまるで巨砲のようにそびえていた。
千紗はこのとき勃起した陰茎を初めて目にした。深夜に痴漢され強引にシゴかされたときはアイマスクをしており、恋人ともまだキスまでしか経験がなかった。
彼女はその大きさ逞しさにおののき、壁に張り付くように身を震わせた。
つづく
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