沙織は吊り革を持ち、また3両目の前方に立っていた
俯き、その白いうなじを露出している
時折、少しだけ顔を起こし、すぐまた俯いてしまう
いつも繰り返されてきた光景を見つけ、不思議と安心した
そうだ・・・そんなはずはない・・・
満員電車の中で・・・知らない男とキスなど・・・
勝手に確信し、安心を感じた瞬間・・・ありえない不思議な光景が目に入ってくる
もしかしたら、人混みで気づかなかったぢけかもしれない
沙織の後ろに立っていたスカジャンの男が横にズレ、その場所にグレーのスーツの男が立つ
沙織の顔が少し上がる
また沙織が俯く頃、スーツの男の体が揺れた
心臓が高鳴る
脂汗が顔から溢れる
無意識に、まるで前の人を押しのけるように強引に進んだ
迷惑そうな顔を向けられても気にならなかった
1人押し退けるたびに50センチずつ沙織の位置に近づいて行く
7人目を押しのけると、沙織の体が全部見える位置まで到達した
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