真面目、大人しい、清楚・・・
おそらく、誰に聞いてもそう答えるだろう
ゴムを解けば肩を覆うだろう長さの黒髪を、いつも後ろで束ねている
膝丈のスカート、黒いソックス、、、他人との違いなど、学校に指定されていないカバンがグレーで、可愛いキーホルダーで飾られていることくらいか
クラスでも特に誰かと仲が良いわけでもなく、特に目立つ訳でもなく・・・
自分の部屋でベットに横になり、宙を見上げながらそんな事を考えていた
ふと思い出す
もう何度も頭をよぎったあの朝の光景
あれから数日・・・俺は電車の時間を変えていた
忘れようとしたのになぜか思い出してしまう
黒いスーツの男の後ろ姿に遮られながら、電車に静かに前後に揺れる沙織の体がチラチラと見える
ゆっくりと上がっていく沙織の顔
その顔に重なる知らない男の頭
向こう側・・・沙織の後ろに立つ男・・・
あれは気のせいだろうか・・・?
その時に明確に思ったわけではない・・・思い違いかもしれない
けれど・・・確か、沙織を見つけた時はグレーのスーツの男だったはず・・・
なのになぜ、沙織のキスの疑惑のシーンを思い出すたび
その後ろに見えるのは黒いジャンパーの男なのか・・・
入れ替わった?
満員電車の中で?
扉の前ですらない、あんな前方の奥でそんな必要が?
いやいや、そもそもあの人混みで移動なんか出来るのか?
体を布団の中で丸めた
明日は・・・また、あの電車に乗ろう・・・
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