【21】
「よし。終わった。ミスもない。図面も全部そろった。」
孝史はA4版の文書の束を両手で縦に持つと、机の上でトントンと軽く叩い
て端をそろえてからクリップで挟み、図面をファイルに閉じて文書と一緒に
課長の机に置いた。
「これで訂正終わり。」
孝史はその場でホッと息をつくと背伸びをして社内を見回した。
天井の明かりは消され、まだ残業している何人かの社員が各々のブースの卓
上灯を頼りに仕事をしている。
時刻は7時を過ぎていた。
『さて・・帰るか。』
孝史は椅子に掛けたスーツを羽織ると、ブースの壁に吊られている薄手のコ
ートを腕に掛け、ネクタイを少し緩めてから鞄を持ち、まだ残業している他
の社員に挨拶して部屋を出た。薄暗い廊下を歩いて階段を降りると裏口から
駐車場に出ると、辺りの喧騒が薄暗い空間に鳴り響いていた。
裏口のすぐ手前に停めていた車に乗り込むとシートに深くもたれかかり、フ
ロントガラスから見える薄暗い空を見上げ深い溜め息をつく。
やるべき量の仕事を終わらせた満足感は、これから帰る家の事を考えると、
風船が萎むように小さくなっていき、代わりに深い憂鬱がどんよりとした暗
闇のようにジワジワと心の中に広がってくる。
『結論をださねばならない。』
昼間の村田の言葉を思い出し、孝史は両手で顔を覆い目を瞑った。
『何も考えたくない・・・。この陰鬱な気持ちを晴らしたい・・・。』
シャツの胸ポケットを探り煙草を取り出した。が、空だった。
「くそっ!!」
空の煙草の箱を雑巾を搾るように捻ると、助手席の床に投げつけた。
『だめだ。イライラが止まらない・・。頭がどうにかなりそうだ。普通じゃ
ない・・・。』
孝史は、ハンドルを握り大きく深呼吸をするとエンジンを掛け駐車場を出て
行った。
市街地と住宅街を結ぶ国道に入る前にコンビニがある。孝史は煙草を買うた
めに立ち寄った。
煙草を二箱買うと、雑誌のコーナーに立ち寄り、棚に置かれている週刊誌を
パラパラと捲った。
字がぼやけて見える。
焦点が定まらないようだ。
上を向いて疲れた目をこすると目の前の窓から外を眺めた。
目の前を紺色の制服を着た少女が通り過ぎて行く。
ショートの黒髪で割と色白な肌。少し細めの奥二重の目。小さく小高い鼻。
薄い唇。決して美人では無い。が、知的で端正なその顔からは、恐らくは誰
もが感じるだろう独特な雰囲気を漂わせている。
『・・・あの子だ・・。』
孝史は通り過ぎて行く少女に魅入られた。
その少女を見たのはこれで三度目だ。
一度目は、その少女は孝史の自慰行為を覗いていた。
二度目は、買い物に出た孝史の車の前を通り過ぎていった。
過去の二度の出会いは一瞬のものだったが、今はその少女をじっくり見る事
が出来た。
『何故だろう・・美しい・・・。』
孝史はその少女の独特な美しさに魅入られながら運命的なものを感じた。
孝史の足は無意識に外に向かって歩き出し、店を出ると、その少女の後をつ
いて行った。
晩秋の夜の空気は冷たく乾燥していて、夜空の星を鮮明にし、月明かりが夜
道を照らしている。
時折通り過ぎる車の音も、遠ざかっていくと辺りの静けさを引き立たせるだ
けで、遠い間隔で光を放つ街灯と月明かり以外は周囲に光は無く、静かで暗
い夜道。
民家もなく、コンビニもなく、人気もない、市街地と住宅街を結ぶ1キロほ
どの薄暗い国道を歩く少女。
その10メートル程後ろを音を発てずについて行く孝史。
紺色のブレザーにそれ程短くないスカート。そこから伸びる健康的な白い
足。肌より僅かに白いハイソックスが薄暗い空間を前後に動いている。
肩掛けの鞄を下げ、左手にバッグを持ち、時折吹く風にスカートが揺れると
右手でお尻を押さえている。
少女の後ろ姿を見つめながら孝史は不徳な行為への衝動にかられはじめてい
た。
いや、この少女をコンビニで見た時から、あるいはもっと前からすでに考え
ていたのかもしれない。
前方の左側に広場が見えた。宅地にする予定で整地された広場の隅には三坪
ほどの小屋が置いてある。
孝史は少女との距離を縮め始めた。
7メートル・・・4メートル・・・1メートル。少女に手が届く距離になっ
た。
「ねぇ。キミ。」
孝史はそう言って少女の左肩をポンと叩いた。
「ひゃっ!!!」
少女は驚いて小さな声をあげると、ビクッと体を震わせて振り向いた。
その顔は驚きと恐怖でひきつっている。今にも逃げ出そうとする少女に、孝
史はなるべく優しい声で言った。
「あのさ、間違ってたらゴメンよ。キミさ、この前・・この道の途中で停ま
ってた車の中を覗いてなかった?」
「・・・!!!」
少女はその言葉にハッとして、孝史の顔を見るとさらに驚いた顔をして手に
持ったバッグを落とし両手で口を押さえた。
「やっぱり。キミだったんだ。なんで覗いてたの?」
少女は、両手で口を押さえたまま首を振っている。
「え?なに?」
少女の口から何か発せられたような気がして聞いた。
「・・・なさい・・めんなさい・・ごめんなさい・・。」
少女はしきりに謝っている。
「ちょっとこっちに来て。」
孝史は少女の手を掴み、広場の方へ連れて行こうとした。
少女は一瞬抵抗するように足を踏ん張ったが、少し強く引っ張ると力が抜け
たようにフラフラと歩き出した。
広場の隅にある小屋まで連れてくると、孝史は少女の手を掴んだまま小屋の
ドアノブを回した。
ドアはすんなり空いた。
少女の手を引っ張り小屋の中へ入ると後ろ手にドアを閉め中を見回す。
小屋の中は道路の街灯の明かりが僅かに差し込みぼんやりと薄暗い。何も置
いてなく、意外にも綺麗にしてあった。恐らく、工事業者が仮設事務所とし
て使用する為一時的に持ってきたのだろう。
孝史は少女の手を掴んだまま顔を見た。
少女は左手でバッグを胸の前に抱き、うつむいている。突然の出来事にどう
していいのか解らず、声も出せないようだ。
孝史は少女を引き寄せ、後ろに回ると右手で胸を鷲掴みにし、左手で腹部を
押さえ逃げられないようにした。
「いやっ・・やめて・・くだ・・さい・・。」
少女は小さな声で懇願したが、孝史はかまわず右手で小ぶりな乳房を愛撫し
始めた。
少女は身をよじって抵抗するが、その力は弱く、孝史のなすがままだった。
左手を腰に回したまま、右手でシャツのボタンを外し中に滑り込ませ下着の
上から握り込むように乳房を揉み、スラックスの上からもその膨らみが解る
ほどに勃起した股間を少女のお尻に押し付け腰を動かす。
少女は孝史の腕を引き離そうと握っているが殆ど力は入っていない。
孝史の手が少女のブラジャーの中へ侵入し、その先の突起を探り当てた。そ
の突起を指の間に挟み乳房を愛撫する。
「心配しなくていいよ。最期までするつもりは無いから。だから大人しくし
てるんだよ。」
そう少女に呟くと、孝史は左手を少女の腰から離し、スラックスのジッパー
を下ろすと中からはちきれんばかりに反り返ったペニスを取り出した。そし
て右手をブラジャーから引き抜くと少女のスカートをたくしあげ、ストライ
プの下着の中に前から手を滑り込ませた。
薄い恥毛の奥に指を這わせると、割れ目に指をねじ込み突起を触った。
少女の陰部は僅かに濡れていた。
孝史はクリトリスを集中的に愛撫する。
少女の腰が指から逃れようと前後に動く。
孝史は左手でペニスを握ると少女の下着の股間にあてがい腰を振り始めた。
柔らかい太ももと暖かい下着の股間の部分にこすれて孝史は鋭い快感を覚え
た。夢中で腰を振り、少女の股間にペニスをこすりつけ右手でクリトリスを
左手で乳房を愛撫する。
少女は諦めたように抵抗をやめ、ただされるがままになっている。
孝史の腰の動きが速くなった。
少女はその変化に気付き、これから起こることを察したのか身をよじって孝
史のペニスから逃れようとした。
その時、孝史の動きが止まり、ペニスの先端から大量の精液が噴き出した。
飛び散った精液は少女のスカートの裏側や下着の股間の部分、白い太ももに
かかり、床へしたたり落ちていく。
孝史は少女から体を離すと急いでペニスをしまい、小屋から飛び出し走り去
っていった。
少女はその場にヘナヘナと崩れ落ち呆然と宙を見つめていた。
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