「えっ、なんで知ってる…彼女が愛茉に言ったのか…」
俺は、血の気が引く思いで、思わず生唾を飲んだ。
「もしかして、キスした事とかも…」
焦った俺は、いろんな言い訳を頭の中を巡らせていた。
「スゴいじゃんお父さん!杏奈、絡まれてたの追い払ってくれた、って!それも男達3人も!」
と、娘が声を弾ませていた。
「へっ?」予想外の娘のリアクションに困惑し、すっとんきょんな声を上げてしまった
すると妻が、「お父さん、そんなに勇ましかったっけ?」と言いながら、「あんまりムリしないでね、もう若くないんだから。」と言った。
確かにどうにかしようとしたのは事実だが、正直何もしていない。
それなのに、いつの間にか家族から英雄扱いされてしまった。
それ以上の事は伝わっていないのか…そんな疑問を持っていたが、聞くに聞けずにいると、「あ、そういえば杏奈からライン来てない?」と娘が尋ねてくる。
「えっ…、ライン…?」
「そう、ギターの事とか、あたし経由で聞かれるからさぁ、めんどくさいからお父さんのID教えたの、来てない?」
そういう事か…
だから彼女が知ってたんだ…
俺は分からなかった感じでスマホをいじる素振りを見せて、
「あ〜、来てた来てた。「愛茉に教えてもらったからよろしく、」だって」
と、いかにも今、メッセージに気づいたように芝居をした。
とりあえず、家族は昨日の事は分かっていないらしい。俺は安堵から、ため息をつきながらソファに深く腰掛けた。
そのまま天井を見つめながらぼ〜っとしていると、スマホのバイブが鳴った。
そこには、
「またドライブ、連れてってくださいね。❤」というメッセージと共に、上半身下着姿の彼女の写真があった。
それからほぼ毎日、彼女からのメッセージは続いた。時には自撮りした写真も送られて来た。
俺は返信はしなかった。その義務もないし、何より彼女のペースにはまってしまいそうだったからだ。
ある日、俺は仕事の打ち合わせで駅前にきていた。打ち合わせが終わり、帰ろうと歩いていると、彼女がバイトしていると言ったファーストフードの店の前を通りかかった。
「そういえば、ここでバイトしてる、って言ってたな…」
俺は外から店内を見渡した。そこにはお店の制服姿で接客している彼女がいた。
その容姿は群を抜いていて、食事をしながら彼女を見ている男性もいた。セーラー服とは違う制服姿が、大人びた雰囲気を出していた。
夜、彼女から送られて来た写真を眺めていた。
部屋着の写真はショートパンツから伸びた肢体が眩しかった。
お風呂上がりなのか、少し濡れた髪とほんのりピンク味を帯びた首元が艶やかだった
いつの間にか、俺は彼女を1人の女性として意識し、魅了されていた。
そして知らぬ間に、俺は彼女の掌で踊らされていたのだった。
年末が近づいてきて、娘の学校も休みに入った。休みに入ってすぐ、娘は部活の合宿に行くことになったが、たまたま妻の社員旅行と1日被ることになっていた。
前の日に妻は、仕事に行ってる間に出かけ、今日は休日だったが朝早く起きて、娘にオニギリを作って持たせ、待ち合わせの駅まで送っていった。それから午前中は掃除やら洗濯やら慣れない家事を行ったせいか、昼をとってからソファで居眠りしてしまった。
居眠りしながら夢を見た。彼女の夢だった
夢の中で俺は、彼女にキスをし、服を脱がせていた。彼女は何ら抵抗もせず、身をまかせていた…というところで目が覚めた。
「なんて夢を見たんだ…」夢である事に安堵のため息をついたが、同時に何か、物足りない感じがしていたのも事実だ。
起きようとしたその時、違和感を感じて横を向いた。
そこには、彼女がじっとこちらを見つめ、目が合った瞬間、ニコッ、と微笑んだ。
「あ、杏奈ちゃん!?な、何してるの!?」
俺は飛び起き、彼女に問いかけた。
「チャイムも押したし、声もかけたんですけど…でもいる気配がしたので、もしかして具合悪いのかと思って、入ってきちゃいました。」と、微笑みながら言った。
「今日はなに?愛茉は合宿でいないよ。」
俺は向き直って彼女に言った。
「知ってますよ。」と言ったあと、
「奥さんもいないんですよね?だから来ちゃいました。」と悪びれることもなく言った
「あのさぁ…なんで!?おかしいだろ!?愛茉も誰もいないのに、なんでその親父に会いに来るんだ?」俺は少し語気を強めて言った。
「なんで、って…だって二人っきりになれるじゃないですか!?」
だめだ…話が噛み合わない…、俺はソファにもたれて座り、どう説得しようか、天井を見つめながら考えていた。
だが、心の奥にほんの少しだけ理性を越えてしまいそうな欲望というものが芽を吹き出していた。
いつの間にか彼女は、俺の前に来て、身を乗り出すように顔を近づけてきた。
「大丈夫ですか?」彼女はイタズラっ子のような目で俺を覗き込んでいた。
そのままそのまま動かずにいた。いや、動けなかった。
そして、「フフッ」、と笑って俺に抱きついてきた。そして、先日の車の中と同じように、両手を顔に当て、キスをしてきた。
まだ17歳の女の子とは思いないくらい、だ情熱的で激しいものへと変わっていった。
俺は起き上がり、彼女の身体を寄せ、彼女の激しさに負けないくらいの激しいキスをやり返した。
もう俺の理性は、欲望という激しい炎に燃え尽くされて消えてしまっていた。
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