翌日、咲の養子縁組について再び弁護士事務所を訪れ、母親の彼氏が咲に対して怪しい事を伝える。
「やっぱりあの方法しかないのか…。」
「そうですね…戸籍はバツイチになりますが、咲ちゃんを養女にするにはこの方法が一番早いです。どうされますか?」
あまりやりたくは無かったが、家庭裁判所を通さずに養子縁組するには、咲の母親と一度結婚する事が近道らしい。
母親と結婚し咲と養子縁組した後、離婚する。離婚しても養子縁組の関係は解消しない限り続くらしい。
戸籍はバツイチになるが、一度くらい結婚してもいいだろう。
後は母親に了承させる為にはどうするかだ。ネグレクトの証拠を突き付け、お金を渡して納得させる。
後は咲の事は気にせず自由に恋愛してくれればいい。
普通養子縁組じゃあ母親と親子の縁は切れないが、特別養子縁組のハードルは高いからそれはしょうがない。
「じゃあ…その方法で話を進めてくれるか?お金の事は任せるから。母親の納得する金額を用意してあげてくれ。咲には僕から話しておくから。」
「わかりました。私が事前に話を進め、岡田様には印を押すだけにしておきます。」
「ありがとう。宜しく頼むね。」
母親との婚姻、咲との養子縁組、その後の離婚がスムーズに進む為に根回しをするよう弁護士に頼み事務所を後にする。
もう昼か…久しぶりにショッピングモールに行くとするか。
ちょうど車に乗り込んだタイミングでスマホが鳴る。ひまりの母親からのLINEだ。
何だろ…まさかこの前の別荘での事がバレたんじゃあ…。
少し心配しながらLINEを開けると、
「先日は娘を預かって貰ってありがとうごさいました。ところで今、〇〇ジムの近くに来ているんですか、岡田さんはいますか?お見えになるなら入会しようと思って…。」
と言うメッセージだった。何気に言った事を忘れてたよ。本当に入会しに来るとは思ってなかった。
「ありがとうございます。15分ぐらいで伺えますがお仕事の時間は大丈夫ですか?」
「今日は外回りで予定より早く仕事が終わったので大丈夫です。」
「良かった。受付で僕の名前言って中で待っててもらえますか?」
「わかりました。お待ちしています。」
僕は直ぐにジムに「加藤様が来られるのでオーナー室へ案内してくれ」と連絡を入れる。
あっそうだ…。あいつにも電話しておかないと。
「純也…急だな。どうした?」
「いや、詳しい説明は後でするから。お前、ひまりの母親見たいだろ?ゲームコーナーは暫くバイトに任せて、〇〇スポーツショップに先回りしててくれ。後で行くと思うから。」
「わかった。急いで準備するよ。」
僕はショッピングモールから行き先を変え急いで〇〇ジムへと車を走らせる。
15分後ジムに到着し、オーナー室に入るとひまりの母親が立ち上がり、
「急に伺ってすいません。近くまで来たもので、そう言えば〇〇ジムに岡田さんいるかもと思って連絡しました。」
と頭を下げる。
ひまりの母親は僕の顔を見た瞬間、頬を少し赤らめ恥ずかしそうな顔をする。
娘のひまりとそっくりな顔に驚く。
顔はキリッとしているが、パット見36歳には見えない。
やはり…僕に気があるのか。
「いえいえ…全然大丈夫ですよ。ちょうどジムに向かうところでしたので。」
ジャケットとパンツ、上下薄いグレーで白のブラウス。まさに仕事が出来る人が着るようなカッコいいスーツ。
スーツの上からでもスタイルの良さがわかる。
まずは入会手続きをする。
「入会費と月会費で普通〇〇〇〇円かかりますが、娘の親友のお母さんですので無料でいいですよ。」
「えっ?それはダメです。ちゃんとお金払います。」とびっくりした顔をする。
「娘の大事な親友のお母さんですから特別会員にしておくので大丈夫です。」
「娘を預かって貰ったお礼もまだしてないのに、ジムの会費まで無料にしてもらってすいません。何かお礼しないと…。」
違う形でお礼してもらえると嬉しいんだけどね。どんな味だろう。ひまりと一緒かな〜。いかんいかん…そんな事考えてると下心がバレてしまう。
「全然大丈夫ですよ。あっそうだ。まだトレーニングウエア買ってないですよね?この後一緒に買いに行きませんか?」
「えっ?岡田さんが私に付き合ってくれるんですか?」
「もちろんです。今日は加藤さん仕事も終わって時間があるんでしょう?私がよく行くスポーツショップに行きましょう。」
「何から何までありがとうございます。」
入会手続きを終えると、ジムを出て母親を車の助手席に乗せる。
母親は運転席に座る僕の顔をチラッと見るとまた頬を赤らめる。
それを見て、なんか少女みたいな初々しさを持ってる不思議な人だな〜なんて思ってしまう。
もしかして旦那意外の人と付き合った事がない人かも。その旦那は今は海外に単身赴任。セックスもせず性欲のはけ口がないなか、仕事一筋で頑張ってるんだから凄いよな。勿体ない。
「じゃあ…出発しますね。」
「はい…宜しくお願いします。」
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