毎週来るわけないと思いながらも、翌週の土、日の午後、ショッピングモールに行ってみるも、案の定ひまりちゃんと咲ちゃんには会う事は出来なかった。
渡辺からも見かけたという連絡もない。焦ってもしょうがないと思いながら仕方なく目の保養に専念する。
次の土、日曜も会う事が出来ず渡辺に、
「最初に会った時に、もっと仲良くなれるチャンスあっただろ?あ〜あ、もったいなかったな。」
なんて言われたが、また絶対会えると
いう変な自信があった。
4月の第3土曜日の正午ごろ、会えないだろうな~と思いながらゲームコーナーをうろついていると、
「あっ…オジサン!」と声をかけられ振り向くとそこにはひまりちゃんと咲ちゃんが。
ひまりちゃんは相変わらずショートパンツにTシャツ。咲ちゃんはキャロットスカートにTシャツ。今日は4月にしては暑いから薄着なんだろう。
この前ブラウスを着ていた咲ちゃん。
胸の膨らみはよくわからなかったが、今日はTシャツ。
ひまりちゃんよりは控えめだが、2つの尖った膨らみがはっきりわかる。いい感じに育ってるな~。
しっかりと目に焼き付けておこう。
まさか向こうから声をかけてくるとは思わなかったが、活発なひまりちゃんなら納得。
「あっ…もしかしてあの時のひまりちゃんと咲ちゃん?」
とびっくりした表情で話しかけると、
「わあっ…オジサン私達の名前覚えていてくれたんだ。嬉しいな〜」
とひまりちゃんはニコニコしながら僕を見上げてくる。
その横で咲ちゃんはペコリとお辞儀をする。控えめな少女だな~。
「あの時はありがとうございました!縫いぐるみ大切にしてるよ。ね?咲」
「う…うん。枕元に飾って大切にしてます。」
「そうなんだ〜。そう言って貰えるとオジサン嬉しいな。今日は?また縫いぐるみ欲しい?取ってあげるよ。」
「えっ!本当?欲しい。」
ひまりちゃんは欲しいとはっきり言うが、咲ちゃんは「遠慮したほうがいいよ」とひまりちゃんの服を引っ張る。
僕はその様子を見て、
「じゃあひまりちゃんと咲ちゃん100円ずつ出してくれる?君達の代わりにまた一発で取ってあげるから。取れなかったらオジサンがお金出すから。だったらいいでしょ?」
と言うと咲ちゃんは納得した表情を見せる。やはり奢られるのには抵抗があるんだろう。
いくらでも奢ってあげるのに。
ひまりちゃんは、「オジサン…私これが欲しい」と言いながら、僕をユーホーキャッチャーの前に連れて行く。
100円ずつ貰い、ひまりちゃんと咲ちゃんが欲しい縫いぐるみをそれぞ一発で取ってあげると、
「わあっ!ありがとう。やっぱりオジサン凄い!」
と目を輝かせる二人。僕は縫いぐるみを渡し、
「ところで、このショッピングモールにはよく遊びに来るの?」
と聞いてみる。
ひまりちゃんは顔を左右に振り、
「あまり来ないけど…。」
と言うので、
「あまり来ないのに今日は来たんだ。この前来たのは確か3週間ぐらい前だったかな?」
と聞いてみると、
「あのね、もしかしたらオジサンに会えるかな〜って思って来たの。あの時のお礼言えたらいいな〜って、行こうって誘ったのは咲ちゃんなんだよ。」
とひまりちゃんが咲ちゃんを見る。
「えっ!そうなの?」
咲ちゃんは、
「もう…ひまりちゃんは、なんでも正直に言っちゃうんだから。」
と顔を真っ赤にしている。
「咲ちゃんが僕にお礼を言いたいから行こうってひまりちゃんを誘って来てくれたんだ。なんか嬉しいね。」
と言って咲ちゃんの頭を軽く撫でると一層恥ずかしそうな顔をする。
案外咲ちゃんのほうが、攻略しやすいんじゃないか。
「お礼を言う為だったのに、また縫いぐるみを貰っちゃったね。」
と咲ちゃんを見ながらひまりちゃんが言う。
「今回は自分達のお金だから何も遠慮する事ないよ。そうだ…君達お腹空いてない?フードコートでなんか食べようよ。お礼のお礼だよ。」
と言うと2人は「どうしよう」と躊躇する。
「オジサンと行くのは嫌かな?」
と聞くと2人は顔を思い切り左右に振る。
「嫌じゃないのに?もしかしてお金かな?」と聞くとコクンと頷く2人。無駄遣いは駄目らしい。
「オジサンが奢ってあげるから。わざわざ僕にお礼を言う為に会いに来てくれたんだからご馳走させてよ。ほら行くよ!」
と言って半ば強引に2人を連れてフードコートに向かう。
フードコートは大勢の人がいるから怪しまれる事はまずない。
少女達も安心だろう。でも唯一心配な事がある。僕は歩きながら、
「オジサンと一緒にいるところを君達の知り合いに見られたら、あの人誰?って聞かれるかもしれない。そしたらなんて答える?怪しい人なんて思われたくないからさ。」
とひまりちゃんに聞いてみる。
「う〜ん…何て言おう。オジサンの事まだよく知らないし…。あっ…そうだ。咲ちゃんのパパと言う事にしとけばいいんじゃない?」
「ん?咲ちゃんのパパ?」
その意味が理解出来ず聞いてみると、咲ちゃんが小さい時、両親が離婚したと言う事だった。それからパパとは会ってなくて、顔も覚えていないらしい。
「そっか…咲ちゃんのパパいないんだ。聞いてごめんね。」
と言うと、
「……大丈夫。ひまりちゃんの言う通り、私のパパだって言うからオジサン安心して。」
と言ってニコッと笑う咲ちゃん。
健気だし、案外見た目よりしっかりしてるかも。体はひまりちゃんより幼いが、ひまりちゃんより精神的に大人なんだと思えてくる。
咲ちゃんにもう少し気を遣ってやれよと思ったが、悪気がなくはっきり言うところがひまりちゃんの良いところなんだろうな〜。
咲ちゃんも気を遣わないひまりちゃん
だから仲良しなんだろう。
でもはっきり物事を言うひまりちゃんは要注意だ。もし関係をもったらすぐに咲ちゃんにバレちゃうかも。なんでも言いそう。
う〜ん…よく考えないと。
口が固そうな咲ちゃんが先か…。
ん?まだそんなところまで全然行けてないけど…。やれるかどうかもわかんないし。
でも僕にお礼を言う為にわざわざ来たんだから、最初の印象は悪く無かったんだろう。というか…もしかして僕に会いたかったかも。
母子家庭だし…ひまりちゃんよりは攻略しやすい。
もう少し家庭環境の事を探ってみるとするか。
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