◯ソープランドへ
1999年7月某日 午後。
天気 快晴。
バイトで貯めたお金を握り締めて、エロ本の中だけだった異世界である台東区某所のソープ街に僕は初めて降り立った。
焼けたアスファルトから溶けたタールの臭いが漂う程の炎天であるが、古びた雑居ビルの様なソープランドの建物の前だけは丁寧に打ち水がされており、掃除もされているようだ。
僕はブラジルのスラム街の様な風景を想像していたので意外さに驚いていたが、「カモを見つけた!」と言わんばかりに四方八方から湧き出したパンチパーマの集団にあっと言う間に取り囲まれる。
「兄ちゃんソープかい?若い娘いるよ!」
「ウチは安いよ!12000円!」
「おっぱい好きでしょ?おっぱい大きい娘いるよ」
パンチパーマはニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら各々店のアピールをしてくるものの、それぞれが微妙に胡散臭い。
僕は引き攣った顔でパンチパーマ達を無視して、手近な店に飛び込んだ。
総額12000円…。幸か不幸か激安ソープである。
「いらっしゃい。兄ちゃん初めて?」
受け付けの奥から別のパンチパーマが現れ、店のシステムについて説明を始める。
男が言うにはこんな感じだ。
・写真なし
・指名の場合は2000円プラス
・時間は60分12000円、90分18000円、120分23000円。
「じゃあ90分で…指名は無いです。できるだけ若い娘をお願いします…」
「はいよ。じゃあ前金で」
男に金を渡すと僕はカーテンで仕切られたソファが置かれた2畳ほどの部屋に通され、ここで麦茶を飲みながら女の子を待つように指示される。
「アリサさん、ご新規お願いします」
待つこと数分。
僕の前に『アリサさん』がやってきた。
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